2015 Fiscal Year Research-status Report
抗がん剤による細胞周期停止を利用した腫瘍標的新規遺伝子デリバリー戦略の確立
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15K18844
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
鵜川 真実 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 特任助教 (50735511)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / G2/M arrest / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 抗がん剤による遺伝子発現活性上昇条件の探索 種々の濃度のDoxorubicinに曝露したcolon26細胞に対して、カチオン性リポソームに封入したEGFP発現プラスミドDNAをTransfectionし、遺伝子発現活性(EGFP蛍光強度)の評価を行った。その結果、至適濃度のDoxorubicinを処置した際に、無処置群と比較してEGFP蛍光強度が5~6倍程度上昇することが明らかとなった。本Doxorubicin濃度において、無処置群と比較して20%程度の増殖抑制が起きており、G2/M期にある細胞の割合の増加が確認された。本Doxorubicin濃度を用い、以下の検討を行った。 2. DNAの核移行のイメージング 共焦点レーザースキャン顕微鏡を用い、Doxorubicin処置を行った細胞と未処置細胞におけるプラスミドDNAの細胞内局在の評価を行った。その結果、Doxorubicin処置を行った細胞において、未処置群と比較して核内にプラスミドDNAのシグナルが存在する細胞の割合の増加が認められた。なお、当初の計画では単離核の核膜孔の染色を行い、プラスミドDNAとの共局在の評価も行う予定であったが、単離核が再懸濁困難な凝集塊を形成するという問題が起きたため、前述の生細胞を用いた観察のみを行った。 3. プラスミドDNAの核移行量の定量 核移行率を定量的に評価するため、細胞全体に含まれるDNAと核フラクションに含まれるEGFP遺伝子をリアルタイムPCR法を用いて定量した。その結果、細胞内遺伝子量に対する核内遺伝子量の割合(核移行率)において、Doxorubicin処置群と無処置群の間に有意な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に予定していた内容のうち、遺伝子発現上昇条件の探索は予定通りに終了し、核移行のイメージングは、技術的な問題により一部内容を変更して行った。また、当初平成28年度に予定していたリアルタイムPCRを用いた核移行率の検討を前倒しして開始した。よって、本研究全体の計画のうち、平成27年度に行うべき分量は消化していると考えており、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた結果より、遺伝子発現活性上昇がみられる条件において、DoxorubicinによるG2/M arrestや、導入遺伝子の発現・核移行は細胞集団の中の一部において起きている現象であることが示唆された。この場合、細胞集団全体を対象にしたアッセイではこれらの現象が過小評価されやすいと考えられるため、本現象の解明のためには、特定の特徴を有する細胞集団を対象とした解析が適していると考えられる。 そこで平成28年度は、具体的に以下の実験を行う。まず、フローサイトメトリーを用い、Doxorubicin処置細胞の中でG2/M期にあるものとそれ以外の細胞周期にあるものにおける遺伝子発現や核移行を比較する。また、in vivo腫瘍では、遺伝子発現細胞やG2/M期の細胞などの分布が培養細胞と異なることが予想されるため、colon26細胞をマウス皮下に移植することによって作製した腫瘍から腫瘍細胞を採取し、抗がん剤による細胞周期の変化や導入遺伝子発現の変化を評価する。
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Research Products
(1 results)