2015 Fiscal Year Research-status Report
がん標的型高性能細胞製剤の開発および難治性がん治療への応用
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15K18850
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
草森 浩輔 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (90707407)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞治療 / 間葉系幹細胞 / アビジン-ビオチン法 / 遺伝子導入法 |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉系幹細胞は生体内のがん部位を察知して積極的に集積する特性を有していることから、間葉系幹細胞を利用した新規がん標的治療法を提唱できる可能性がある。本研究は、間葉系幹細胞にがん抑制効果を付与することによるがん治療法の確立を目的とするものであり、本年度は間葉系幹細胞の機能化手法の確立を試みた。まず、マウス間葉系幹細胞株C3H10T1/2細胞にアビジン-ビオチン法を用いて、蛍光化合物、green fluorescent protein及びNanoLuc luciferaseなどの様々な化合物の修飾を試みた。その結果、本修飾法を用いてC3H10T1/2細胞に修飾された化合物は細胞の表面に局在しており、少なくとも5日間は同程度の修飾量を維持可能であることが明らかになった。また、本修飾法はC3H10T1/2細胞の接着性、増殖性、分化能、遊走能に対してほとんど影響を与えなかった。さらに、NanoLuc Luciferase修飾C3H10T1/2細胞をマウスに移植した後、経日的にNanoLuc Luciferaseの発光強度を評価したところ、少なくとも5日目まで細胞に修飾されたNanoLuc Luciferaseの存在が確認された。一方、遺伝子発現間葉系幹細胞については、interferon gamma放出細胞またはfirefly luciferase発現細胞の樹立に成功しており、現在これら細胞を用いて間葉系幹細胞のがん抑制効果の評価及び体内動態の追跡を試みている。以上、現在までにがん治療を目的とした間葉系幹細胞に機能を付与する手法としてアビジン-ビオチン法が有用であることを示し、遺伝子導入による細胞の機能化にも成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は間葉系幹細胞の機能向上を目的とした細胞機能化手法の確立を計画しており、進捗状況としては概ね予定通り進んでいる。間葉系幹細胞の特性に影響を与えない細胞機能化法としてアビジン-ビオチン法または遺伝子導入法の導入を試み、様々な化合物の修飾および遺伝子発現に成功している。細胞の機能化手法に関する基礎的検討はおおよそ完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の予定通り、確立した細胞の機能化手法を用いてマウスにおけるがん治療効果について評価する予定である。これまでに確立した様々な機能を有する間葉系幹細胞を担癌マウスに移植することで最もがん増殖を抑制可能な細胞を選択する。最終的には、難治性がんマウスにおける治療効果を評価する。
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Causes of Carryover |
低額物品の購入等による金額の微調整を行なっていないために少額の残金が生じた。本年度交付された金額は90%以上を執行している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の遂行における物品費に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)