2015 Fiscal Year Research-status Report
ショウジョウバエの腸管において腸内細菌の違いを感知する新規メカニズムの解明
Project/Area Number |
15K18855
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
倉石 貴透 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90613167)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 腸管免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
「内なる外」と呼ばれる腸管は,体内にありながら外界と接している特徴的な器官である.腸管内には摂取した食物や腸内常在菌,外から侵入した病原性細菌などが存在している.侵入した病原性細菌は,宿主の免疫応答により腸管から排除される必要があるが,宿主にとって有益な働きをする腸内常在菌は適切に維持されている.病原性細菌と腸内常在菌とを区別して認識し,腸管免疫応答を制御することは宿主にとって非常に重要である.なぜならば,この機構が破綻すると炎症性腸疾患などの発症につながるからである.しかし,病原性細菌と有益な常在菌を見分け適切に制御する分子機構はまだ良く分かっていない. 申請者らは,グラム陽性菌経口感染後の腸管での遺伝子発現変化をDNAマイクロアレイ解析により調べたところ,味覚受容体や嗅覚受容体といった低分子化合物の受容体の発現量が経口感染により変化することを見出した.そこで,これらの低分子化合物が病原性細菌や腸内常在菌に特有の低分子化合物を認識し,腸管での免疫応答を制御しているのではないかという仮説をたて検証を行うこととした. 本年度は,様々な低分子化合物受容体の欠損ショウジョウバエの作成を行った.また,ショウジョウバエ野生型個体や自然免疫経路の変異体における腸内細菌叢の違いを,次世代シーケンサーを用いたメタ16S解析により調べ,腸内細菌の単離を行った.さらに,ショウジョウバエを完全に無菌化し特定の細菌のみを定着させて解析を行なうために必要な,無菌アイソレータを用いた無菌ショウジョウバエの作成を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は,グラム陽性菌感染の認識に関わる因子を探索し同定することを通じ,常在菌が適切に維持される機構にせまることを計画していた.しかし,腸管特異的なRNAi法によるノックダウン後の生存率測定が予期していたより不安定であったため,別のアプローチを考え,低分子化合物受容体の欠損ショウジョウバエの作成を行い,順調に欠損体の作成が成功した.また,メタ16S解析が予想より順調に進んだ.以上から,本研究の目的は同一であるが,アプローチを変更が功を奏し,順調に研究が進展していると判断している.
|
Strategy for Future Research Activity |
無菌アイソレータを用いて特定の細菌のみを定着させたノトバイオートショウジョウバエを作成し,腸管で低分子化合物受容体の発現量が高い内分泌細胞での遺伝子発現変化をRNAseqにより調べる.腸管の内分泌細胞をFACSによりsortingし,RNAseqを行なうための実験系を現在検討中である.
|
Research Products
(7 results)