2015 Fiscal Year Research-status Report
スフィゴミエリン合成酵素のオリゴマー形成領域の同定と機能解析
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15K18868
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
林 康広 帝京大学, 薬学部, 助教 (70582857)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脂質 / ホモダイマー |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、スフィンゴミエリン (SM) 合成酵素がヒト免疫不全ウィルス (HIV) の宿主細胞への膜融合を促進することを明らかにし (Hayashi et al., J. Biol. Chem., 2014)、その解析過程で、SM合成酵素がオリゴマーを形成することを偶然に見いだした。この研究計画では、SM合成酵素のオリゴマー形成に重要なアミノ酸領域を解明し、オリゴマーの機能を明らかにする。SM合成酵素はHIV感染や糖尿病に関与することが考えられ、本研究によって、SM合成酵素のオリゴマー形成が新しい創薬ターゲットになることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫沈降法とBlue-Native PAGEより、SMSがホモダイマーを形成することを見出した。また、Brefeldin処理で小胞体からゴルジ体輸送を阻害しても、SMSのホモオリゴマー形成に影響がなかったことからSMSは小胞体で複合体を形成することが分かった。1アミノ酸置換変異体と化学架橋剤を用いた実験より、SMS1はN末端の50番目のシステイン残基、SMS2はC末端の343, 348番目のシステイン残基が架橋されることが分かり、これらのシステイン残基はホモダイマー形成において近傍にあることが明らかになった。また、C末端を欠損したSMS1, SMS2はホモダイマー量が減少したが、SMS1のN末欠損体はホモダイマー形成に影響がなかったことから、SMSオリゴマー形成にはC末端を介した相互作用が重要であることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
1) SM合成酵素のオリゴマーの生化学的な機能を解析する。具体的には、野生型とオリゴマーを形成しない変異体の酵素活性、細胞内の脂質組成、細胞内局在の違いを調べる。 2) HIV感染にSMS2オリゴマーが関わるのかを調べる。オリゴマーを形成しないSMS2変異体の発現細胞を用いてHIVエンベロープを介する細胞間膜融合を解析する。また、HIVエンベロープで刺激した際の、宿主細胞のSMS2オリゴマー量の変化を解析する。 3) 糖尿病にSMS1オリゴマーが関わるのかを調べる。SMS1欠損マウスの膵細胞では、ミトコンドリア機能の低下によりインスリン分泌が低下する。SMS1ノックアウトマウスの胎児繊維芽細胞にオリゴマーを形成しないSMS1変異体を発現する再構成細胞を作製し、野生型SMS1再構成細胞と比較して同程度にミトコンドリア機能が回復するのかをATP産生量を指標に調べる。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究が円滑に進行したため、使用額が当初の予定よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、実験計画上、多数の抗体を購入する必要があるので、従来通りの歳出計画で問題ない。
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Research Products
(4 results)