2015 Fiscal Year Research-status Report
プロスタグランジンEP4受容体はいかにして脂質の恒常性維持に寄与するのか?
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15K18875
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
稲住 知明 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (80746503)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロスタグランジン受容体 / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロスタグランジン(PG)E2受容体EP4の欠損マウスを用いて、EP4受容体による脂肪蓄積の制御機構を明らかにした。EP4欠損マウスは通常食条件下において白色脂肪組織(WAT)重量亢進の表現型を示し、長期間高脂肪食を負荷してもその表現型は維持されたが、WATの炎症性状態や全身のインスリン感受性は悪化せず、慢性炎症性の肥満状態ではないことを見出した。LC-MS/MSを用いた組織中のエイコサノイド一斉定量法の基礎検討を行った。また、PGE2産生に寄与するホスホリパーゼ/シクロオキシゲナーゼ経路についても検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、EP4受容体による脂質代謝調節機構の解析に加えて、昨年度導入されたLC-MS/MSシステムを用いて、エイコサノイド一斉定量系の基礎検討を行い、リガンド側の産生調節機構を解析するツールを確立できたため、現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
EP4受容体が機能する責任細胞を同定するため、骨髄移植実験および細胞特異的EP4欠損マウスの作成、解析を行う。リガンドであるPGE2の産生機構を明らかにし、PGE2-EP4シグナルがどのような生理状況で機能するのかを解析する。さらに、肥満、糖尿病モデルマウスへのEP4作動薬の投与を行い、脂質異常症の治療標的としての可能性を評価する。
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Causes of Carryover |
今年度はインビトロ実験を中心にEP4受容体の脂質代謝制御機構を解析し、多くの試薬を別テーマの実験と共有して使用することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、細胞特異的EP4欠損マウスの作成、解析および肥満病態マウスモデル作成等、インビボ実験を中心に行い、マウスの購入維持費などに予算を使用する。
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