2015 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーを介したスタチン依存的な横紋筋細胞障害の抑制法の開発
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15K18877
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
荒木 信 明治薬科大学, 薬学部, 助教 (20552904)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬学 / オートファジー / 筋細胞障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脂質代謝異常症治療薬であるスタチンが引き起こす横紋筋融解症などの筋細胞障害の抑制・改善方法の確立を目的として、筋細胞障害の原因と考えているスタチン依存的なオートファジー誘導の分子機構について研究を進めている。スタチン依存的なオートファジー誘導を抑制する因子の探索を行うために、ヒト横紋筋肉腫由来細胞にオートファジーマーカーであるLC3にGFPを融合したタンパク質(GFP-LC3)を発現させて、GFPの輝点の増加をオートファジー誘導の指標とするアッセイ系を構築することとした。当該年度では、GFP-LC3発現細胞でのアッセイ系のバリデーションを中心に進めた。また、スタチン依存的なオートファジー誘導がmechanistic target of rapamycin複合体1(mTORC1)の経路を介していることについても、より詳細なデータを解析した。 アッセイ系のバリデーションでは、オートファジー誘導を起こす濃度、時間などを解析して、In Cell Analyzerでの多検体解析のアッセイポイントの設定を行った。これまでの結果から、スタチン依存的なオートファジー誘導によるGFP-LC3の輝点の増加と、Geranylgeranyl pyrophosphate添加による誘導の抑制が見られる条件として、セリバスタチン1 μMで12 hr~18 hr処理することとした。mTORC1経路に対する解析は、S6Kのリン酸化状態をウェスタンブロッティングで解析し、スタチン依存的なオートファジー誘導よりも、mTORC1の活性の抑制が早期に起きていることが明らかとなった。このことから、スタチン依存的なオートファジー誘導はmTORC1を介した経路で調節されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題のスクリーニング系の構築は概ね完了しており、薬剤ライブラリーを用いたアッセイを進行するところである。当初、gene trap法を用いた遺伝子破壊細胞ライブラリーでスクリーニングを行うことも計画していたが、相同遺伝子もノックアウトして完全に発現を消失させることが困難なこともあり、並行して準備していた薬剤ライブラリーを用いた方法を中心とした。また、これまで不十分であったスタチン依存的なmTORC1の活性変動についても解析が進み、誘導にかかる時間や細胞腫特異性からもmTORC1を介したオートファジー誘導機構であることを示唆する結果が得られている。スクリーニングを薬剤ライブラリー中心に進めることとなったが、計画は概ね順調に進行していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、レトロウイルスのgene trap法を用いたスクリーニングよりも薬剤ライブラリーを用いたスクリーニングを中心に行う。これまでに構築してきたオートファジーの活性評価系を用いて、化合物ライブラリーからスタチン依存的なオートファジー誘導を抑制する化合物のスクリーニングを進めていく。ヒットした化合物については、2次スクリーニングとしてLC3のウェスタンブロッティングを行い、スタチン以外のオートファジー誘導への影響も解析し、特異性について明らかにしていく。また、mTORC1の活性についても解析し、候補化合物がスタチンによるシグナルのどの部分に作用しているのかを解明する。
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Research Products
(2 results)