2017 Fiscal Year Research-status Report
うつ病発症における脳アストログリア空間的カリウム緩衝機構の生理的役割の解明
Project/Area Number |
15K18878
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
中谷 善彦 国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (40582169)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グルココルチコイド / カリウムチャネル / Kir / グリオーマ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に確立したC6グリオーマの分化誘導条件を元に、本年度はC6グリオーマ分化誘導前および誘導後における電気生理学的手法による内向き整流性カリウムチャネル電流の測定を試みた。測定には、細胞外液として150mM NaCl, 5.4mM KCl, 1.8mM CaCl2, 1.2mM MgCl2, 10mM d-glucose, 10mM HEPES (pH7.4) を、電極内液として 140mM KCl, 1mM MgCl2, 5mM EGTA, 4mM MgATP, 10mM HEPES (pH7.2) を用いた。測定条件として、静止膜電位を-50mVに設定し、-130mVから-20mVまで、10mVずつステップパルスを与えた。分化誘導前のC6グリオーマでは、内向き整流性カリウムチャネル由来の電流は認められなかったものの、4-Aminopyridine (4-AP)の投与により抑制される電位依存性カリウムチャネル由来と考えられる外向きの電流が認められた。まず、生化学実験による結果を元に、分化誘導3日後のC6グリオーマにおいてカリウムチャネル電流を測定したところ、外向きの電流は観察されたが、内向き整流性カリウムチャネル由来の電流は観察されなかった。続いて、分化誘導5日後のC6グリオーマでは外向きの電流の他、強い過分極刺激時より内向き電流が認められ、これは4-APの投与により抑制されなかったことから、内向き整流性カリウムチャネル由来の電流であることが示唆された。これに対し、C6グリオーマの分化誘導時にグルココルチコイドであるコルチコステロン (100μM) を同時投与したところ、内向き電流は認められなかった。以上の結果から、コルチコステロンにより、分化誘導されたC6グリオーマにおけるカリウムチャネルの電気生理学的性質が変化することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
C6グリオーマにおけるカリウムチャネル電流測定条件の設定に時間を要したことが原因である。まず、安定した測定を実現するための細胞外液および電極内液の確立や測定のためのパルスプロトコルの設定に時間を費やした。また、C6グリオーマ分化誘導に伴うKirチャネル発現の生化学的な経時変化と電気生理学的特性が発現するまでの経時変化との間にタイムラグがあり、C6グリオーマ分化誘導後のチャネル電流測定タイミングの同定に時間を要したことも研究の進捗が遅れた原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、電気生理学実験により明らかとなった分化誘導C6グリオーマにおけるカリウムチャネル機能発現の経時変化をもとに、生化学実験による各種内向き整流性カリウムチャネル発現の経時変化を明らかにする。これに加え、カリウムキレーターである Asante Potassium Green を用い、細胞内におけるカリウム濃度変化を可視化する実験系を確立する。これにより、分化誘導されたC6グリオーマやコルチコステロン処置された細胞において、細胞外カリウム濃度変化に対するカリウム緩衝能をリアルタイムで明らかにすることが可能である。
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Causes of Carryover |
本年度はC6グリオーマを用いた電気生理学実験における実験条件の設定に時間を要した。このため、使用額が当初予定より減少し、次年度使用額が生じることとなった。
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