2016 Fiscal Year Research-status Report
神経発達症/神経発達障害の治療・予防における小胞体ストレスの病態生理学的解析
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15K18879
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
川田 浩一 千葉科学大学, 薬学部, 講師 (30581631)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Autism spectrum disorder / Neurite outgrowth / ER stress / Neuronal differentiation |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,妊娠中期の小胞体ストレスがその子孫における神経発達症(特に,自閉スペクトラム症(ASD))発症の原因の一つであることを提唱してきた.当該年度では,その前年度から引き続き,ASDモデルマウスにおけるタンパク質凝集抑制作用を有する4-フェニル酪酸(4-PBA)の効果について解析した.ASDモデルマウスは,不安行動やコミュニケーション能力の低下などの行動異常が認められた.一方,妊娠中期での4-PBA投与は,これら行動異常のうち,不安行動に対しては影響しなかったが,コミュニケーション能力の低下を予防した.さらに,脳内での変化を解析すると,大脳皮質ではシナプス形成因子の発現抑制が,4-PBA処置により改善されることが明らかとなった.しかしながら,海馬において,シナプス形成因子の発現に4-PBA処置による大きな変化は認められなかった. 今後は,4-PBAの効果について詳細に解析していくと共に,その誘導体などの薬物について,ASDに対する効果を検討していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4-PBAの検討については,概ね予定通り検討できている.一方,in uteroによるツニカマイシンの投与は,条件検討が思うように進まず,予定より遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
4-PBAあるいはその誘導体を用いたASDの予防効果および治療効果について今まで通り検討する.一方,in uteroによるツニカマイシンの効果については,今後の条件検討次第で他の方法に切り替えることも検討している.
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Causes of Carryover |
当該研究は,おおむね順調に進行していたが,使用物品の在庫不足および納期未定に伴い次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用予定にしていた初代培養関係の消耗品に使用する予定である.
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