2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K18880
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
酒井 寛泰 星薬科大学, 薬学部, 講師 (00328923)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / シスプラチン / 筋萎縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤の副作用の1つである疲労感/倦怠感は、治療中だけでなく治療が終了したあとで も長期間持続し、患者のquality oflife (QOL)を著しく低下させる。しかしながら、抗がん剤による疲労感/倦怠感の発症機序は未だ解明されていない。申請者らはこれまで、主要な抗がん剤の1つであるシスプラチンによる疲労感/倦怠感の発現に骨格筋萎縮が関与することを明らかにした。そこで本研究では、臨床上問題となる疲労感/倦怠感を発症する抗がん剤のシスプラチン、パクリタキセル、イリノテカン等による筋萎縮作用に焦点をあて、検討を行っている。本年度は、シスプラチンによる筋萎縮時における gene expression profiling を DNA microarray にて解析した結果、筋萎縮原因遺伝子である MuRF1 および Atrogin-1 (MAFbx) だけでなくpathway 解析の結果、proteasome degradation pathway の一部である 26s proteasome の構成分子(Psma1, Psma3, Psma4, Psma5, Psma7, Psmb4, Psmc2, Psmc4, Psmc6, Psmd3 等)の遺伝子発現増加、ならびに、横紋筋収縮 pathway 因子である tropomyosin3、tropomyosin-T1、troponin-I1、alpha-actin1 および 2、myosin light chain2, 3 等の遺伝子発現低下が引き起こされていることを明らかにした。したがって、シスプラチンンは、骨格筋細胞内において MuRF1 ならびに Atrogin-1 (muscle-specific E3 ligase) を介した 26s proteasome によるタンパク質分解機序の亢進および横紋筋収縮因子の発現低下が引き起こされ、この状況を介して疲労感/倦怠感を惹起している可能性が示唆できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、シスプラチンによる筋萎縮時の gene expression profiling が終了したが、倦怠感を頻発する抗がん剤であるパクリタキセル、シタラビン、イリノテカンの gene expression profiling を行い、比較検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成 28 年度より、パクリタキセル、シタラビン、イリノテカン等の投与によりマウス骨格筋に萎縮作用を示すのか、さらには、MuRF1 や MAFbx/Atrogin-1 の様な筋萎縮の原因遺伝子においてどのような影響を与えるのかを検討し、シスプラチン以外の抗がん剤による筋萎縮作用を検討する。また、この筋萎縮時における gene expressin frofilling を DNA microarray にて検討、さらにはMuRF1 や MAFbx/Atrogin-1の発現に関するエピジェネティック変化の解析を行う予定である。現在、C2C12 cell および C2C12 myotube におけるこれらの抗がん剤による作用を検討しているため、細胞ならびに筋管細胞からのアプローチも視野に入れている。また、来年度より、この抗がん剤による筋萎縮を抑制できる治療薬探索ならびに運動療法の効果を検討する予定である。
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