2016 Fiscal Year Research-status Report
ラン科セッコク属植物の包括的情報構築と潜在的薬用資源の探索
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15K18889
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高宮 知子 日本大学, 薬学部, 助教 (50513917)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セッコク属植物 / 分類学 / 分子系統解析 / HPLCプロファイル / エキスの生理活性測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ribosomal DNAのInternal transcribed spacer領域およびmaturaseK遺伝子領域を用いた分子系統解析により明らかとなった類縁関係、および形態学的特徴から選抜した典型種(分類群の特徴を示した代表とする種)に関して、平成27年度に引き続いてエキス抽出を行い、液-液抽出法を実施し、各植物エキスのヘキサン画分、酢酸エチル画分、水画分を得た。得られた各植物種の酢酸エチル画分およびヘキサン画分に関して、マクロファージ細胞株Raw264.7細胞を用いた一酸化窒素(NO)産生抑制試験、ディスク法を用いた抗菌活性試験、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジルフリーラジカルを用いたラジカル消去活性試験を実施した。ラジカル消去活性及びNO産生抑制活性は、ほとんどの種において、ヘキサン画分よりも酢酸エチル画分の方が高い活性を示した。抗菌活性を示した典型種に関して、その近縁種の抗菌活性も測定したところ、抗菌作用を示した。そこで、抗菌活性を示した植物種の酢酸エチル画分に関して、HPLCプロファイルを比較して共通に含まれる化合物の探索を行ったところ、いくつかの共通HPLCピークがあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
典型種からのエキス抽出および液-液抽出を実施して得られた各植物種のヘキサン画分、酢酸エチル画分に関して、平成28年度に計画していたNO産生抑制活性試験、抗菌活性、ラジカル消去活性を実施し、活性の高い典型種を見出した。さらに、一部の典型種に関しては、その近縁種の活性測定も実施したところ、典型種と同様に活性を示す近縁種があった。これはセッコク属植物から典型種を選抜し、多角的な基盤情報を構築して活用することが、潜在的薬用植物グループの特定に有用である可能性を示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は典型種のエキス画分の抗炎症活性試験、抗菌活性、抗酸化活性試験を引き続き実施する。抗炎症活性試験で高い活性を示したエキス画分に関しては、処理した細胞からRNAを抽出し、炎症性サイトカインのmRNAの発現量を定量RT-PCRにより測定する。また、高い生理活性を示した典型種が属するクレードについては、引き続き、その近縁種に関してもエキスの生理活性評価およびHPLCプロファイルの作成を行い、潜在的薬用資源グループの特定を行う。さらに、HPLCプロファイルと生理活性値の相関を解析することで、活性に寄与している化学成分の推定とその単離・構造決定を目指す。
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Causes of Carryover |
HPLCプロファイルの作成に向けたHPLC分析条件検討を複数回想定していたが、予想を下回る回数で分析条件が定まったため、残金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
植物エキスおよびセッコク属植物より単離できた化合物の生理活性測定にかかる消耗品に使用する予定である。
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[Presentation] ラン科セッコク属植物エキスの微生物に対する影響の評価2016
Author(s)
菊地秦平, 清水玲子, 吉野圭一, 宮本智弘, 横山史歩, 蒋文君, 北中進, 鈴木和浩, 遊川知久, 飯島洋, 高宮知子
Organizer
日本植物園協会第51回大会
Place of Presentation
ウィング21(長野・白馬)
Year and Date
2016-06-17 – 2016-06-17