2015 Fiscal Year Research-status Report
微生物由来Mer輸送体の有害金属輸送活性の解析と有害金属複合汚染浄化への利用
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15K18907
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
曽根 有香 北里大学, 薬学部, 助教 (60550035)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 水銀耐性遺伝子 / ファイトレメディエーション / 有害金属輸送活性 / 複合汚染浄化 |
Outline of Annual Research Achievements |
有害金属による複合的な環境汚染が問題となっており有効な除去法の開発が求められている。植物の生理活性を利用した浄化方法であるファイトレメディエーションは経済的で環境への影響が少ないという利点を持つ。しかし浄化期間・浄化効率が悪いという欠点を抱えるため、有害金属を効率的に取り込む輸送体の利用が有効であると考えられる。これまでに水銀耐性菌から見出された無機水銀および有機水銀を取り込む輸送体として MerC, MerE, MerF 及び MerT が同定されている。この中で、MerC は水銀だけでなくカドミウム輸送活性を有することが示唆されていた。しかし、MerC 以外の MerE, MerF, MerTのカドミウム輸送活性については不明であったため、Mer輸送体 の カドミウム輸送活性について検討した。水銀調節遺伝子 (merR-o/p) の下流に水銀輸送遺伝子 (merC, merE, merF, merT) をそれぞれ組換えたプラスミド pC7, pE4, pF17, pT5 を大腸菌に形質転換した。pKF19k ベクターを形質転換した大腸菌をコントロールとして用いた。各クローンのカドミウム取り込み量はフレーム式原子吸光光度法により測定した。その結果、MerC, MerE, MerF または MerT をもつクローンのカドミウム取り込み量がコントロールに比べそれぞれ有意に上昇した。以上の結果から、各Mer輸送体は水銀化合物のみならずカドミウム取り込み活性を有することが示唆された。このことから、Mer輸送体をファイトレメディエーションへ利用することにより、水銀だけでなくカドミウム等の有害金属による汚染の浄化を可能にすることが期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、MerC, MerE, MerF, およびMerTの有害金属取り込み活性及び複合汚染下における取り込み活性について、カドミウムのみならずクロムやヒ素についても感受性試験を順次開始しており、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度ではMer輸送体のヒ素やクロムに対する輸送活性について解析すると共に、無機水銀及び有機水銀を含めた有害金属複合汚染条件下における各輸送体の有害金属取り込みについて解析し、浄化に最適なMer輸送体を選抜する。大腸菌における検証で有用であると判断されたMer輸送体を組換えた植物の有害金属耐性及び浄化活性について解析する。平成28年度以降はこれらの研究成果を科学論文に投稿する作業を行う予定である。
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Causes of Carryover |
必要な機器および消耗品を購入したが当初の想定より経費節減できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬類(培地、制限酵素等)、プライマー、消耗品(ガラス器具、シャーレ、チューブ、チップ等)を主に購入する予定である。また、英語論文校閲・投稿など研究成果の発表に必要な経費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)