2017 Fiscal Year Research-status Report
新規抗MRSA薬におけるTDMの有用性評価と至適投与のためのノモグラムの構築
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15K18924
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 孝明 九州大学, 大学病院, 薬剤師 (50725744)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗MRSA薬 / 治療薬物モニタリング / 薬物動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)薬であるリネゾリドならびにダプトマイシンは、有効治療濃度域や腎機能低下時、低アルブミン血症時の薬物動態については未解明であることから、治療薬物モニタリング(TDM)の有用性については一定の見解が得られていない。本研究は、リネゾリドならびにダプトマイシンにおける有効性と安全性を確保するための至適血中濃度域を明らかにすること、さらに得られた薬物動態パラメータに基づく抗MRSA薬の個別化投与法を確立することを目的とした。 2017年度は、昨年度に引き続き、九州大学病院グローバル感染症センターおよびリネゾリド・ダプトマイシンの血中濃度測定系を確立している国内の施設と血中濃度測定、薬物動態に関する共同研究を継続した。 2017年度までにダプトマイシンの血中濃度検体が得られた19例(51検体)を対象として血中濃度と腎機能ならびに筋毒性発現との関連性について検討した結果、腎機能正常患者では、約半数の患者において初回血中濃度値が10 microg/mLを下回っていた。一方、腎機能低下患者における血中濃度値は個人差が大きく、血液透析施行患者では、投与初期において血中濃度が低値となる傾向が認められた。また、血中濃度値が高い患者において筋毒性の指標であるクレアチンキナーゼ値の上昇が認められたことから、血中濃度の個人差が大きい腎機能低下患者にダプトマイシンを投与する際は、クレアチンキナーゼ値の慎重なモニタリングが必要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
採血の負担を減らすため、通常診療で行う血液検査の残余検体で代用できる場合は、研究用採血を不要とするよう研究計画を一部変更した。 本変更により、多くの症例数を確保することが可能となったが、当初計画していた2017年7月までに目標症例数(60例)を確保することができなかったため、症例の登録期間を半年間延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、2018年度もリネゾリドならびにダプトマイシン投与患者を対象とした臨床研究を継続する。症例の登録期間を延長したことで目標症例数到達の目途が立ったことから、血中濃度と有効性・安全性の関連性、ならびに薬物動態パラメータに基づく個別化投与法の検討を進める。
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Causes of Carryover |
抗MRSA薬の血中濃度測定系を確立している施設との共同研究を開始していることから、自施設での測定に要する支出が予定より減少したため次年度使用額が生じた。 2018年度も、抗MRSA薬投与患者を対象とした臨床研究を引き続き継続する予定であるため、物品費、学会発表・論文投稿費、その他経費に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)