2015 Fiscal Year Research-status Report
67LRへの標的指向型EGCG-PEG修飾リポソームの抗腫瘍効果と増強機序の検討
Project/Area Number |
15K18931
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
杉山 育美 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (80509050)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リポソーム / EGCG / ラミニンレセプター / 抗腫瘍効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性度の高い腫瘍細胞に高発現する67 kDaラミニンレセプター(67LR)を標的としたリポソーム製剤を開発することを目的とし検討している。67LRへの標的性を増大させるため、茶カテキンのひとつであり67LRを介してアポトーシスを誘導するとの報告がある(-)-epigallocatechin-3-gallate (EGCG)をリポソーム膜表面へ修飾する。 リポソーム膜表面にEGCGを修飾するためにはEGCG-脂質誘導体とし、リポソーム膜表面とEGCGの間には血中滞留性を増大させるためにpolyethyleneglycol (PEG)を必要とする。そこで、EGCG誘導体の先端をアミノ基とし、N-ヒドロキシスクシンイミドを末端に有するPEG脂質と反応させて目的のリポソームを得ることとし、新たなEGCG誘導体の合成を行った。EGCG誘導体の合成において、合成過程においてモノアミン体とジアミン体の2種類が回収され、これらの細胞毒性を67 LR高発現細胞であるB16F10マウスメラノーマ細胞を用いて比較した結果、両者に有意差は認められなかった。一方、合成過程における回収率を比較するとモノアミン体のほうが優れており、効率的な検討をするためにはモノアミン体を用いることが適していると考えられた。 次に、EGCG修飾リポソームとEGCG水溶液のB16F10マウスメラノーマ細胞に対する殺細胞効果を評価した。EGCGの濃度を11 μMとしたときEGCG水溶液に比べてEGCG修飾リポソームのほうが強く細胞生存数を抑制した。さらに、67LR低発現細胞であるマウスP388白血病細胞に対しては殺細胞効果が低く、IC50値を算出することは不可能であった。すなわち、67LR高発現細胞に対してEGCG修飾リポソームが有用であることが示唆された。 本年度の検討において基礎的なデータを得ることができたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EGCG誘導体の合成に時間がかかり、さらにモノアミン体もしくはジアミン体のいずれを用いるかを選択する検討に時間を要した。そのため、当初の計画よりもやや遅れているが、基本的な検討は終了したので次年度以降の検討はスムーズに実施できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は抗腫瘍効果の検討後、作用機序を解明するためのin vitro検討を早期に実施する。平成27年度に計画していたフローサイトメトリーによるアポトーシス誘導評価については、67LRを介するアポトーシス誘導は既に報告されているため優先順位が高いものではないと判断し、薬効および作用機序の検討が終了後に実施することとする。
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Causes of Carryover |
EGCG誘導体の合成に時間がかかり、さらにモノアミン体もしくはジアミン体のいずれを用いるかを選択する検討に時間を要した。そのため、合成に必要な試薬類の購入が主な購入物品となり、動物や培養に必要な試薬類の購入が遅れたと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の早期より、メカニズム検討に必要な試薬および消耗品を購入する。また、EGCG誘導体の合成をスケールアップする必要があるため、合成に必要な試薬もあわせて購入する。
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Research Products
(4 results)