2016 Fiscal Year Research-status Report
精神病発症危険状態(ARMS)患者における血清中不飽和脂肪酸濃度の変動解析
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15K18936
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小野里 磨優 東邦大学, 薬学部, 助教 (50610094)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ARMS / 不飽和脂肪酸 / 3-HB / 血清バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
1. ヒト血清中3-ヒドロキシ酪酸(3-HB)濃度の変動解析 東邦大学医療センター大森病院(研究協力者・辻野)の協力のもと、本研究の目的・内容を文書にて十分な説明をした上で、必要な研究参加の同意を文書にて得られたARMS患者の採血を継続的に実施し、血清を得た。平成29年3月31日までに、ARMS 22例、First-episode schizophrenia (FES) 8例、健常者25例がエントリーし、ARMS 14例、FES 5例、健常者25例の血清中3-ヒドロキシ酪酸(3-HB)の定量を完了した。血清中3-HB測定は、平成27年度に構築した蛍光誘導体化法に基づき、LC-MSにより行った。ARMS患者の血清中3-HB濃度は健常者の血清中よりも有意に低濃度であった。遊離脂肪酸のβ酸化により生成される3-HBは酸化ストレスを抑制する働きを有するため、3-HB濃度が低いARMS患者の体内では酸化ストレスが亢進し、反応性カルボニル化合物(ROCs)が蓄積している可能性が示唆された。
2. EPA製剤経口投与ラット血漿中遊離脂肪酸濃度の変動解析 SDラットにEPA製剤を経口投与し、経時的に採血をして血漿を得た。得られた血漿を除タンパク・液-液抽出の後、タンデムMS用の誘導化剤DAABD-AEにより誘導体化し、LC-MS/MSにより測定した。DAABD-AE のN,N-dimethylamino-ethylaminosulfonyl 基に由来する共通のプロダクトイオン(m/z 151)をモニターすることで、EPA及びその代謝産物であるドコサヘキサエン酸(DHA)を定量した。EPA 製剤投与後、EPA 及びDHAの血漿中濃度は経時的に上昇し、投与24時間後においても血漿中濃度が高く持続していることが明らかになり、EPA 製剤を服用後、EPAやDHAは体内に長く留まることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト血清中遊離脂肪酸濃度については、現時点ではまだ測定を完了できていないため、わずかに遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 血漿及び血清中遊離脂肪酸の分析時間の短縮化 現在、ラット血漿中遊離脂肪酸測定には、LC-MS/MSを使用してアイソクラティック条件で溶出を行っているが、分析時間が75 min/sampleであり、1検体の測定に要する時間が長い。そのため、ヒト血清のように多量の検体を測定するには、分析時間の短縮化が必要であると考えている。そこで、今後は、4-N,N-dimethylaminosulfonyl-7-N-(2-aminoethyl)amino-2,1,3-benzoxadiazole (DBD-ED)などの蛍光誘導体化剤を用いて、測定試料をグラジエント条件で溶出できるHPLC-蛍光検出法により、測定時間を短縮できる測定系構築を検討する。
2. 病態モデルラットの血清中PUFA・3-HB濃度推移 NMDA受容体遮断薬ケタミン連続投与による病態モデルラットの血漿中遊離脂肪酸及び3-HB濃度の変動を解析する。
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Research Products
(4 results)