2015 Fiscal Year Research-status Report
エクソソームの組織指向性に依存したがん転移機構の解明
Project/Area Number |
15K18943
|
Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
堀部 紗世 神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (50389110)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソームは、さまざまな種類の細胞から分泌され、生体内の体液中に存在する直径30~100 nmの膜小胞である。エクソソームは、分泌する細胞(ドナー細胞)由来のmiRNA、mRNA、タンパク質等の細胞機能を制御する分子を内包して、エクソソームを受容する細胞(レシピエント細胞)にその情報を伝達する。エクソソームは、がんや神経変性疾患の進行に関与し、エクソソームの取り込み阻害は、がんや神経変性疾患の進行の抑制につながる可能性がある。しかし、エクソソームがどのようなメカニズムで細胞内に移行し、ドナー細胞の情報を伝達するかは不明である。本研究では、エクソソームの細胞内移行メカニズムを明らかにするために、レシピエント細胞に依存したエクソソームの取り込み能と取り込みに関与する分子の発現について検討した。ドナー細胞とレシピエント細胞が同じ細胞の時には、DiO標識したエクソソームは、細胞内に取り込まれた。ドナー細胞とレシピエント細胞が異なる細胞の時には、DiO標識した各細胞由来のエクソソームの取り込みは、HCT116、A549、COLO205細胞の順に減少した。さらに、クラスリンの発現は、COLO205細胞と比較してA549およびHCT116細胞では減少した。一方、カベオリン-1の発現は、COLO205細胞ではほとんど認められず、A549細胞と比較してHCT116細胞でより多く発現していた。エクソソームの細胞内取り込み能は、ドナー細胞によって規定されるのではなく、レシピエント細胞によって規定されており、さらにレシピエント細胞におけるカベオリン-1の発現と相関していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
カベオリンを介したエクソソームの細胞内取り込み機能を評価するために、カベオリンのsiRNAを用いてカベオリンをノックダウンした細胞を構築した。しかし、この細胞を用いてカベオリンの基質を細胞内に取り込ませたところ、取り込み量に差がなく、カベオリンを介した細胞内取り込み能を評価する実験系の構築ができなかった。また、研究協力者が研究半ばで退職されたため、次世代シークエンスで解析する実験が途中で頓挫した。
|
Strategy for Future Research Activity |
カベオリンを介したエクソソームの細胞内取り込みを評価するために、カベオリンを介した細胞内取り込みを阻害する物質を用いて、カベオリンを介したエクソソームの細胞内取り込みについて検討する予定である。さらに、カベオリン依存性のエンドサイトーシス以外の機構も関与している可能性があるので、その他のエンドサイトーシスの機構についても、阻害剤を用いて検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
カベオリンを介したエクソソームの取り込みを証明するための評価系が構築できなかった。そのため、動物実験を用いてエクソソームの体内動態を検討する実験まで、手を回すことが出来なかった。また、次世代シークエンス用の試薬代として予算を残していたが、研究協力者が退職したため次世代シークエンスを行うことができず、次年度に使用する額が増えた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
カベオリンを介したエクソソームの取り込みを証明する評価系を構築する。いままで用いたしsiRNAの配列やメーカーを変えたり、トランスフェクション試薬の種類を変えたり、試行錯誤する。しかし、これら条件を検討しても評価系を構築することができなければ、特異性が弱いが、カベオリンの阻害剤を用いて、カベオリン介在性の取り込みを評価する予定である。
|
Research Products
(2 results)