2016 Fiscal Year Research-status Report
難治性がん治療薬RCAS1遺伝子標的siRNA-PLGAハイブリッドミセルの開発
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15K18945
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
櫨川 舞 福岡大学, 薬学部, 助教 (10509186)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミセル / siRNA / PLGA / 卵巣がん / 腹膜播種モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、(1)siRNA-PLGAハイブリッドミセル製剤を調製し、ミセル製剤の卵巣がん細胞株を用いたin vitroでの細胞導入効率評価、細胞内局在評価を行った。また、(2)カチオン性高分子での表面修飾による細胞導入効率評価を行った。さらに、(3)卵巣がん腹膜転移モデルマウスを使用して腹腔内投与によるsiRNA-PLGAハイブリッドミセル製剤の腹膜転移抑制効果を評価した。 まず、(1)siRNA-PLGAハイブリッドミセル製剤は、siRNA溶液と比較し有意な細胞導入効率の向上が認められた。また、蛍光標識を行ったミセルを用いた検討により細胞内にミセルの分布が認められたことから、ミセルが確実に細胞内に取り込まれその後siRNAのノックダウン効果を発揮していることが示唆された。(2)カチオン性高分子修飾ミセル製剤は非修飾のミセル製剤と比較して顕著な細胞導入効率の向上が認められ、ターゲットタンパクのノックダウンと卵巣がん細胞株の細胞増殖率抑制効果には相関が認められた。(3)最もノックダウン効率の高かったカチオン性高分子修飾ミセル製剤は、卵巣がん腹膜転移モデルマウスにおいて、有意な腹膜転移抑制効果、腹水量の低下、生存率の増加が認められた。 平成29年度は、平成28年度の結果を踏まえ、in vivoでのミセル製剤のがん細胞への集積性を評価し、抗体結合型ミセル製剤のさらなるがん細胞特異的な集積性を評価する。本研究成果については、学会および学術論文等で成果報告を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度のターゲットタンパクの選定に時間を要したため、当初の実験計画よりもやや遅れが生じている。しかし、最終決定したターゲットタンパクに対する開発製剤のノックダウン効率の向上は計画通り確認でき、平成28年度内の研究成果としてはおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究計画・方法は、以下の通りである。 蛍光標識したがん細胞を動物に移植し、動物体内のがん細胞の位置を分子イメージングにより可視化を行う。さらに、がん細胞と識別可能な蛍光を発するタンパクのsiRNAを使用し、siRNA-PLGAハイブリッドミセル製剤投与後のそのノックダウン効果、がん細胞集積性を評価する。 また、がん細胞認識抗体をミセル表面に固定することで、よりがん細胞特異的集積性の高いセンサー型ミセル製剤の集積性の向上効果について評価する。 平成29年度は本研究の最終年度として3年分の研究成果を報告予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度に所属機関の変更、研究環境の変化・教育業務の多忙化と合わせ、ターゲットタンパクの選定に時間を要し、研究計画に遅れが生じた。平成28年度は、おおむね順調に研究成果を得たが、平成27年度の遅れに伴い、その再現性実験および成果報告を年度内に終えることができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、追加・再現実験および成果報告を行う。よって、平成29年度は、主に研究成果発表のための学会参加のための旅費に使用する。平成29年度使用予定の77万円のうち、旅費に40万円、消耗品費に20万円、その他に17万円を使用する予定である。
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