2016 Fiscal Year Annual Research Report
Adverse effect of varenicline on cardiovascular disease under chronic obstructive pulmonary disease conditions
Project/Area Number |
15K18948
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
古賀 允久 福岡大学, 薬学部, 助教 (60570801)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 副作用 / 心血管イベント / 慢性閉塞性肺疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺の炎症性疾患で、発症予防、進行抑制には禁煙が最も効果的で経済的な方法である。禁煙補助薬バレニクリンは禁煙治療において有効性の高い薬であるが、心血管イベント発症リスクを上昇させることが報告された。そこで本研究はバレニクリンを服用する患者背景を考慮し、COPD病態下におけるバレニクリンの心血管イベント発症リスクを検討した。 方法:8週齢の動脈硬化モデルマウス(ApoE KOマウス)にporcine pancreatic elastase (PPE) 2Uを気管内に噴霧し、COPDモデルとした。高脂肪食負荷したこのモデルマウスにバレニクリン(0.5mg/kg/day)を3週間皮下投与し、動脈硬化巣と肺胞径をそれぞれoil red-OおよびH&E染色で評価した。 結果:PPE 0U群においてバレニクリンは、動脈硬化巣の形成を増悪させた。一方、PPE2U噴霧により動脈硬化巣が増大傾向にあったが、有意な差はなかった。またPPE 2U噴霧群において、バレニクリンにより動脈硬化巣は増悪傾向にあったが有意差はなかった。PPE 2U群はPPE 0U群でと比較して、肺胞径が有意に拡大した。一方、興味深いことに、バレニクリンはPPE誘発による肺胞径の拡大を有意に抑制した。 考察:バレニクリンは、ApoE KOマウスにおいて動脈硬化巣の形成を増悪させた。しかし、PPE誘発COPD病態下では、動脈硬化巣は増悪傾向であったが、有意差はなかった。これはPPEによる動脈硬化巣の悪化により、バレニクリンによる増悪が顕著とならなかったと考えられる。また、バレニクリンはPPE誘発による肺胞径の拡大を顕著に抑制したことから、バレニクリンの保護作用によりCOPDに伴う動脈硬化巣の増大が抑制されたかもしれない。バレニクリンは心血管イベントの発症リスクを上昇させる一方で、COPD病態下ではバレニクリンは心血管イベントの発症リスクを上昇させないことが示唆された。
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Research Products
(3 results)