2017 Fiscal Year Annual Research Report
Histochemical study on diversity of fucosylated glycoproteins in the intestinal tract
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15K18959
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
菅原 大介 杏林大学, 医学部, 助教 (00390766)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖鎖 / レクチン / ニッチ細胞 / 免疫組織化学 / 腸管上皮 / 糖タンパク質 / フコシル化糖鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖鎖修飾は、代表的なタンパク質の翻訳後修飾である。生体内では同一のタンパク質に対し多種多様な糖鎖が付加される。異なる糖鎖が付加されることにより、タンパク質の機能が調節される。また、発現する細胞種や、細胞の状態の違いにより、同じタンパク質であっても付加糖鎖は異なる。従って、糖鎖修飾の生物学的機能を理解するためには、糖鎖・タンパク質を区別し、それぞれの糖タンパク質が臓器・組織を構成するどの細胞に発現するか、明らかにすることが必要である。本研究では、腸管の恒常性維持に深く関与するフコシル化糖鎖に着目した。その機能理解のため、マウス腸管を用いて、コアタンパク質が異なるフコシル化糖タンパク質をそれぞれ区別し、腸管のどの細胞に発現するか、明らかにすることを目的とした。 最終年度は、本研究を通じて得た知見を基盤として、対象とした特定の糖タンパク質が、腸管のどの細胞に発現するか検討した。目的の糖鎖が付加されたタンパク質を同定するグライコプロテオミクス解析と、目的の糖鎖が付加した特定のタンパク質を特異的に検出する組織化学的検出法であるin situ PLA法を組み合わせることで、フコシル化糖鎖が付加した糖タンパク質の分布を明らかにした。本研究で明らかにした杯細胞が産生するタンパク質における、陰窩―絨毛軸に沿った付加糖鎖の変化は、杯細胞の分化成熟や、細胞機能の変化に関係すると考えられた。 本研究助成期間において、腸管ニッチ細胞に特徴的な発現をするフコシル化糖鎖を見出した。さらに、フコシル化糖鎖が付加したタンパク質の発現分布を明らかにした。これまで多くの臓器・組織において糖鎖の発現分布に関して多くの報告がある。しかし、糖タンパク質としての発現分布はほとんど検討されたことはなかった。本研究を端緒として他の臓器・組織における検討が進み、糖鎖の生物学的な理解がさらに進展することが期待される。
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