2017 Fiscal Year Annual Research Report
Emotion regulation in male sexual behavior
Project/Area Number |
15K18969
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松下 博昭 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60732394)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 情動行動 / 性行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
雄の性行動には情動や社会行動を調節する作用がある。しかし、その詳細な分子機構は不明である。本研究では、雄の性行動による情動調節の機構を解析する。本年度は、前年度に引き続き雄マウスの雌との性行動によって海馬で変化するタンパク質として転写因子であるCREB(cAMP response element binding protein)のリン酸化への影響をウエスタンブロット法で解析した。さらにCREBによって発現が調節されている脳由来神経栄養因子BDNF(brain-derived neurotrophic factor)の海馬における発現を解析した。BDNFは、マウスを用いた研究から情動や記憶・学習と関連があることが明らかになっているタンパク質である。また雄マウスの性行動によるうつ様行動への影響を強制水泳試験により解析した。強制水泳試験は、マウスを用いた抗うつ薬の評価に用いられている試験である。他にも雄の性行動による情動調節に関連する候補タンパク質をウエスタンブロット法で解析した。その結果、雄マウスの性行動は、海馬におけるCREBリン酸化とBDNFの発現を増加した。さらに性行動後の雄マウスは、強制水泳試験における無動時間を減少したことから、うつ様行動が軽減した。また他にも雄の性行動による情動調節に関わるタンパク質が解析から得られた。本研究から、雄の性行動による情動調節には海馬におけるCREB経路の活性化が関与していることが示唆された。本研究は、性行動による情動調節の機構を明らかにするだけでなく、うつ病や不安障害などの新たな治療戦略を開拓するものである。
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