2015 Fiscal Year Research-status Report
血管病発症におけるシグナル伝達機構の解明および分子標的治療法の探索
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15K18970
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
張 影 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10711260)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 血管病 / 血管平滑筋 / 血管攣縮 / 分子間相互作用 / Fyn |
Outline of Annual Research Achievements |
血管平滑筋の異常収縮である血管攣縮は、狭心症、心筋梗塞、脳血管障害などの急性発症で重篤な疾病を引き起こし、上記疾患の合計死亡数は、がんとほぼ並んで我が国の死因の第2位となり、突然死の主因として恐れられているにも拘らず、根本的な治療法が見つかっていない。本研究では、細胞接着斑タンパク質paxillinとFynとの相互作用の詳細、およびその相互作用の血管異常収縮制御機構への関与について、解明する。平成27年度にpaxillinとFynとの相互作用の詳細について、2分子の相互作用の部位および活性制御のメカニズムを分子レベルで解明した。 平成27年度は以下の研究成果を得た。 1. paxillinのN末端とC末端フラグメントを作成し、大腸菌の系で発現・精製した。 2. His-Tag付き活性型Fynおよび非活性型Fynバキュロウイルス遺伝子発現ベクター系で発現・精製した。 3. 表面プラズモン共鳴法により、活性型FynはpaxillinN末端と結合し、C末端と結合しないことを明らかにした。また、非活性型FynはpaxillinN末端とC末端ともに結合しないことがわかった。 4. paxillinのリン酸化について、特異的部位チロシンリン酸化抗体でpaxillinのチロシンリン酸化を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、細胞接着斑タンパク質paxillinとFynとの相互作用の詳細、および、その相互作用の血管異常収縮制御機構への関与について解明するという目的で、平成27年度は研究計画に沿って研究を遂行できている。具体的には、paxillinのフラグメントを作成し、大腸菌の系で発現と精製も成功した。活性型Fynと非活性型Fynもバキュロウイルス遺伝子発現ベクター系で発現・精製することも成功した。さらに分子レベルでpaxillinとFynとの相互作用の部位を解明した。以上の事より、本研究は概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、研究計画書の通りに、細胞・組織・生体レベルでpaxillinとFynとの相互作用が血管平滑筋異常収縮に関与するかを証明する。
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Causes of Carryover |
本年度の実験内容に変更はなかったが、当初予定していた実験試薬の変更により、38,583円未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この未使用額については、平成28年度の実験試薬の購入に充てる。
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Research Products
(9 results)