2015 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病における血糖変動は、糖尿病性心筋症を促進するか
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15K18972
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
齋藤 聖多郎 大分大学, 医学部, 特任助教 (60631380)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 虚血再灌流障害 / 血糖変動 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
血糖変動モデルとして、SDラットにstreptozotocinを静注し1型糖尿病モデルとし、24時間の絶食にて低血糖を誘導し、その後自由摂食により血糖を上昇させ、これを4日間のうち2回施行し血糖値の大きな変動を与えた。自由摂食を維持した、1型糖尿病モデルの高血糖群と、対照非糖尿病群の3群間で比較したところ、摘出心灌流実験において、血糖変動群で有意に虚血再灌流障害の増悪を認めた。その機序として、血糖変動群の心筋ではNADPH oxidaseおよびthioredoxin-interacting proteinの発現量が増加しており、catalaseやsuper oxide dismutaseの活性が低下していた。また血糖変動群の心筋ではミトコンドリアのクリステの破壊がより顕著であった。マイクロアレイによるmiRNAの発現解析では、miRNA-200cおよびmiRNA-141が血糖変動群の心筋で発現増加していた。培養心筋細胞において、miRNA-200cおよびmiRNA-141をoverexpressionさせるとミトコンドリアsuperoxide dismutaseとcatalaseの活性は低下し、miRNA-200cおよびmiRNA-141をknock downさせると、グルコース濃度変動を負荷した培養心筋細胞において、活性酸素種レベルが減少した。糖尿病における血糖変動が、活性酸素種を増加させ、虚血再灌流障害を増悪させることが示唆された。このメカニズムとして、miRNA-200cおよびmiRNA-141nのupregulationが関与している可能性がある。以上の研究結果は、Circulation Journalにて報告した。血糖変動の心筋微小循環に与える影響、糖尿病性心筋症による拡張障害への影響についてさらに研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病モデルラットにおける血糖変動が心筋虚血再灌流障害を増悪させることを英文論文として報告することができた。血糖変動と糖尿病性心筋症・心臓拡張機能障害への影響については現在検証中である。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病モデルラットにおいて血糖変動負荷が、糖尿病性心筋症について与える影響について、心エコーおよびカテーテルによる心機能評価を行い、そのメカニズムについて検討していく方針である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Glucose Fluctuations Aggravate Cardiac Susceptibility to Ischemia/Reperfusion Injury by Modulation MicroRNAs Expression2016
Author(s)
Saito S, Thuc LC, Teshima Y, Nakada C, Nishio S, Kondo H, Fukui A, Abe I, Ebata Y, Saikawa T, Moriyama M, Takahashi N
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Journal Title
Circulation Journal
Volume: 80
Pages: 186-195
DOI
Peer Reviewed / Open Access