2015 Fiscal Year Research-status Report
血管新生および血管安定化における血管内皮細胞の4D カルシウムイメージング解析
Project/Area Number |
15K18976
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
中嶋 洋行 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (10467657)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 血管新生 / 細胞内カルシウム / 血管内皮増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体の血管新生および安定化した血管でカルシウムイメージングを行い、カルシウム上昇を外的刺激の入力の指標とすることで、細胞外刺激とそれに起因する細胞応答の関係性を動的に捉えることを目指している。細胞内カルシウムを解析するため、ゼブラフィッシュの血管内皮細胞特異的にGCaMP7aを発現させ、同時に個々の血管内皮細胞の核をH2B-mCherryでラベルすることで、血管内皮細胞におけるカルシウム動態を生きたまま1細胞レベルで観察してその定量解析を行った。今年度は、大動脈から節間血管が出芽・分枝する血管新生の過程で、カルシウム動態の解析を行った。その結果、VEGF-A/VEGFR2依存的なカルシウムオシレーションが起こることを見出した。このことから、カルシウムオシレーションを検出することで、個々の内皮細胞におけるVEGFR2 の活性化を間接的に可視化することが可能となった。一連の観察により、VEGF-A/VEGFR2シグナルが、出芽するTip細胞に加え、それに続くStalk細胞においても活性化することを明らかにし、Stalk細胞でVEGFR2が活性化することの重要性を見出した。さらに、Dll4-Notchシグナルを介した側方抑制機構が、どのように血管新生時にVEGF-A/VEGFR2シグナルを制御しているのかを詳細に調べた。その結果、Dll4-NotchシグナルがTip細胞のみならずStalk細胞の選別にも関与することを新たに見出した。このように、生体カルシウムイメージングによってVEGFR2の活性化を間接的に捉えることによって、血管新生の各段階でVEGF-A/VEGFR2シグナルがいつ、どの細胞で活性化することで、血管新生を調節しているのかを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、血管新生過程で生体カルシウムイメージングを行うことで、VEGF-A/VEGFR2シグナルの入力を間接的に捉えることに成功している。さらに、血管新生の各段階でVEGFR2依存性の細胞内カルシウム上昇がいつ、どの細胞で起こるのかを明らかにし、それらがDll4-Notchシグナルによってどのように制御されているのかを明らかにすることができ、一連の研究成果を初年度に学術論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
血流のある血管では、血流依存的にカルシウムオシレーションが起きることを既に見出している。今後は、血流依存性のカルシウム上昇が、メカニカルストレスを含む外的刺激によってどのように制御されるのか、それらが生体でどのような役割を果たすのかを検討していく。
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Research Products
(6 results)