2015 Fiscal Year Research-status Report
in vivo グルタミン酸イメージングによるグリア伝達物質の可視化解析
Project/Area Number |
15K18984
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀧川 健司 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60749274)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イメージング / グルタミン酸 / グリア伝達物質 / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、脳内アストロサイトから放出されるグルタミン酸のシナプス近傍での時空間動態を高い時空間解像度で可視化解析するためのin vivoイメージング技術の構築を目指した。その方策として、1.蛍光性グルタミン酸センサーの開発、2.蛍光性センサーのシナプス近傍への配置技術の開発、に取り組んだ。方策1では、グルタミン酸結合タンパク質と低分子蛍光色素からなるハイブリッド型の蛍光性センサーの開発を行った。その際、高性能蛍光センサーを効率的に開発するための技術であるHyFInD法を活用した。蛍光色素の選定においては、in vivo蛍光イメージングにおいて大きな問題となり得る脳組織に由来する自家蛍光や光散乱を回避するために、長波長の蛍光を発する蛍光色素を優先的に採用した。その結果、ピーク波長670 nmの蛍光を発する長波長型蛍光センサー等、有望な候補センサーを開発することができた。また、開発した候補プローブについて、グルタミン酸に対する親和性や最大蛍光強度変化率といった反応特性を評価し、in vivoイメージングに適用する際の選定基準となる基礎データを取得した。方策2では、神経細胞選択的に発現する膜上分子に蛍光性センサーを配置させる方法論の構築を行った。そのために、神経細胞の膜上分子と選択的に結合する組換えタンパク質を作製し、試験管内で組換えタンパク質と蛍光性センサーを化学的に架橋した複合体を調製した。この複合体を神経細胞とグリア細胞の共培養標本に添加した結果、神経細胞膜上でも特にシナプス近傍に蛍光性センサーを局在して配置させることに成功した。またグルタミン酸を添加することで蛍光性センサーが機能することを確認することができた。さらに方策1、2の技術を様々なグリア伝達物質の機能解析に発展させられることを着想し、主要なグリア伝達物質であるATPに対する蛍光性センサーの開発にも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、蛍光性グルタミン酸センサーの開発に成功した。また、神経細胞とグリア細胞の共培養系において、蛍光性センサーをシナプス近傍に配置する技術の構築に成功した。さらに神経細胞膜上においても蛍光性センサーが機能することを確認することができており、当該年度の研究目標を達成すことができている。加えて、本課題で構築に取り組んでいるin vivoイメージング技術を発展させることで、様々なグリア伝達物質を機能解析する技術に発展させる準備を進めることができており、研究は計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
生きたマウス大脳皮質におけるin vivoイメージング技術の構築及び応用に取り組む。そのため、実験動物を購入し、それに伴って飼育関連器具を購入する予定である。また、in vivoイメージングに必要となる手術器具、光学部品、蛍光性センサーを作製するための試薬を購入する予定である。さらに、研究成果発表のための学会参加旅費、論文投稿に際する英文校閲費、掲載費の支出を計画している。
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Research Products
(4 results)