2015 Fiscal Year Research-status Report
長鎖ncRNA MALAT1を標的とした慢性腎臓病治療戦略開発に向けた研究
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15K18987
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾花 理徳 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (50745883)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 長鎖ノンコーディングRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病(CKD)の病態形成メカニズムの解明や,新たな治療標的及びバイオマーカーを探索すべく,長鎖noncoding RNA(lncRNA)の一つであるMALAT1に着目し研究を行っている. CKDモデルの一つとして,マウス一側尿管結紮(UUO)モデルを用いた.本モデルでは重度の腎線維化が惹起される.UUOモデルを作製し,MALAT1の発現変動を経時的に検討した.その結果,傷害惹起後,経時的にMALAT1が発現上昇することが明らかとなった.この発現変動パターンは筋線維芽細胞マーカーであるα-SMAの発現変動と同様であった.そこで,本モデルにおいて発現上昇するMALAT1の機能を解析する上で,腎線維芽細胞に着目した.マウスの腎臓より線維芽細胞を単離,培養し,二度の継代後,実験に用いた.PCR法を用いた予備的な検討から,腎線維芽細胞にMALAT1が発現していることを見出した.今後は,腎線維芽細胞におけるMALAT1の発現誘導機構の解明及びその機能解析を行う予定である. 他方,加齢はCKDのリスクファクターの一つである.そこで若齢マウスと老齢マウスの腎臓におけるMALAT1の発現を比較したところ,老齢マウスにおいてMALAT1の発現が上昇していることを見出した.上記UUOモデルとは異なり,加齢のみでは重度の線維化は形成されないことから,線維芽細胞以外の細胞における機能も検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎線維化の進展にMALAT1が関与する可能性を示してきた.UUOモデルにおいて上昇するMALAT1がどの細胞に由来するかをin situ hybridization法により確認する予定であったが,評価系が未確立である.しかしながら,MALAT1がUUO傷害に寄与する腎線維芽細胞に発現している可能性を示すことができ,おおむね計画通り遂行している.加えて,加齢による腎臓の質的変化においてもMALAT1が関与する可能性を示すことができている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,腎線維芽細胞におけるMALAT1の発現誘導機構を解明する.その後,MALAT1のノックダウン評価系を立ち上げ,MALAT1の機能解析を行う予定である. また,in situ hybridization 法により,UUOモデル腎におけるMALAT1上昇発現細胞の同定を目的とした検討を継続していく予定である.
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