2015 Fiscal Year Research-status Report
NASHにおける酸化ストレス―小胞体ストレス連関の分子機構解析と創薬基盤の確立
Project/Area Number |
15K18993
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
松本 みさき 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80533926)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 活性酸素種 / NADPH oxidase / 肝臓 / NASH |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究成果は主に2点に分けられる。 1.初代培養肝細胞を用いて、小胞体内カルシウム量を測定する系を確立した。培養48時間後の初代培養肝細胞ではカルシウム感受性蛍光指示薬Fura-2-AM自体が細胞内に取り込まれにくくなる性質が判明し、細胞単離後24時間以内に実験を行うことが重要であることが分かった。細胞単離後24時間の肝細胞に、小胞体カルシウムポンプ阻害薬であるThapsigarginを添加すると一過性の細胞内カルシウム濃度上昇が認められ、小胞体内カルシウム量を測定する系を整えることができた。 2.正常マウスの肝臓において、活性酸素種産生酵素NADPH oxidase (Nox1)は肝実質細胞(肝細胞)よりも非実質細胞に多く発現することを見出した。とりわけ肝類洞内皮細胞(liver sinusoidal endothelial cells: LSECs)においてその発現は高く維持されており、培養したLSECsに飽和遊離脂肪酸であるパルミチン酸を処置するとNox1 mRNAの発現誘導が認められた。このことから、NASHモデルの肝臓で増加するNox1 の発現誘導および酸化ストレス発生にLSECsが寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、初代培養細胞を用いて小胞体内カルシウム量を測定する系を確立することができた。また一方で、Nox1の発現はLSECsに多いことを見出したことから、これまでに認めているNox1ノックアウトマウスにおけるNASH保護効果はLSECsに依存するという新しい可能性が示唆された。今後は肝類洞における酸化ストレスの評価およびLSECsの機能評価も加えて追究していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.初代培養細胞を用いて、パルミチン酸処置によって誘導される小胞体ストレス応答にNox1および酸化ストレスが寄与するかどうか評価する。 2.当初の研究計画に加えて新たに、Nox1誘導および酸化ストレス増加がLSECsの細胞機能に与える影響を評価する。LSECsではパルミチン酸によるNox1の発現誘導が見出されたことから、パルミチン酸処置によって誘発されるアポトーシスおよび内皮細胞に特有の細胞機能である一酸化窒素産生能に与える影響を追究する。
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