2015 Fiscal Year Research-status Report
SAPKおよびPLK4による中心体複製の開始と停止を制御する分子機構の解明
Project/Area Number |
15K19003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 貴紀 東京大学, 医科学研究所, 助教 (30707576)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中心体 / PLK4 / MAPキナーゼ / ストレス応答MAPK / SAPK / リン酸化 / 細胞周期 / 染色体不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内小器官である中心体(中心小体とその周囲の蛋白質複合体PCM)は、細胞分裂期において紡錘体極として機能することにより染色体の均等分配を担うことが知られている。中心体複製の破綻に伴う中心体数の異常は染色体の不均等分配を惹起するため、正常細胞において中心体複製は細胞周期1回につき1度だけ起こる様に厳密に制御されている。中心体複製開始時期であるS期において、Polo-like kinase 4 (PLK4)が母中心小体に集積することにより中心小体複製が誘導されるが、PLK4が中心体へ輸送される分子機構および中心小体複製制御機構に関しては不明な点が多く残されている。今回我々はPLK4の中心体移行メカニズムを明らかにすることに成功した。 中心体数の異常は、中心体複製制御機構の破綻によって惹起される他に、様々なストレス刺激によっても誘発されることが知られている。これまでに我々はストレス環境下においてストレス応答MAPK(SAPK)およびp53がPLK4を介した中心体複製を調節することにより中心体数の保持に重要な役割を担うことを明らかにしてきた(Nat. Commun. 2013)。そして現在我々はSAPKの新たな基質を同定し、この基質分子を介して染色体安定性が制御されることを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
PLK4の中心体移行に関わる分子を質量分析により同定する事に成功し、これらの分子とPLK4が直接結合することを共沈実験等により確認した。またこれらの新規分子をsiRNAによって遺伝子欠損させることによりPLK4の中心体移行が阻害されることを見出している。このようにPLK4の中心体移行に関わる分子の同定とそれらの分子を介して起こるPLK4の中心体輸送メカニズムが分子レベルで解明されつつあるという点で、研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。 ストレス環境下においてSAPKが標的とする新規分子を同定することに成功した。またこの新規標的分子のSAPKによるリン酸化部位の特定にも成功した。現在この標的分子のリン酸化に伴う細胞内変化を観察しており、ストレス環境下における染色体安定性を保持することを示唆する知見を得ており、研究は当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
質量分析により得られたPLK4の中心体移行に関わる候補分子に関して、その細胞内局在、結晶構造、蛋白質間相互作用などを解析することで、同候補分子を介して制御されるPLK4の中心体移行機構の基本原理を明らかにする。 また現在までに同定したSAPK新規標的分子の生理機能を解析することにより、SAPKによる中心体複製制御と染色体安定性の基本原理も明らかにする。
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Research Products
(7 results)