2016 Fiscal Year Research-status Report
リソソーム膜タンパク質による新規多剤耐性獲得機構の解明
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15K19010
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣田 有子 九州大学, 薬学研究院, 助教 (50588259)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リソソーム / トランスゴルジネットワーク / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究結果から、LAPTM4αはアダプタータンパク質(AP)複合体のAP-1やGGA(Golgi-localizing, gamma-adaptin ear homology domain, ARF-binding protein)タンパク質GGA3に依存せず、TGNからリソソームへと輸送されることが明らかとなっていた。また、あらたにLAPTM4αと相互作用する因子を同定していた。そこで、本年度はこの因子がLAPTM4αのTGNからの輸送に関与すること、およびそれに必要な結合領域を同定することが出来た。 さらに、LAPTM4αは3つのPYモチーフを介してユビキチンリガーゼNedd4-1と結合し、そのモチーフに変異を導入するとNedd4-1と結合せず細胞膜へ輸送されるが、LAPTM4αのユビキチン化はリソソームへの輸送には相関しないことを前年度までに明らかにしてきた。すなわち、Nedd4-1はLAPTM4αとは異なるタンパク質をユビキチン化し、そのユビキチン化されたタンパク質がLAPTM4αと結合することで、LAPTM4α をTGNからリソソームへと輸送する可能性が示唆されていた。本年度、LAPTM4αと結合が確認されたあらたなタンパク質がNedd4-1にユビキチン化されることでLAPTM4αの輸送に関与する可能性を示唆することが出来た。 また、本年度はLAPTM4αと結合する他のユビキチン化酵素の同定にも至った。 さらに、LAPTM4αの機能解析を目的として、LAPTM4αが実際に薬物輸送タンパク質として機能しているか否か細胞レベルで検討を行ったが、野生型と変異体で生存率において、顕著な差が認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は途中から、産休および育休を取得したため、本研究課題の進展が途切れたが、前年度に予定よりも前倒しで進んでいたため、大幅な遅れとなることはなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、新たに同定された因子とLAPTM4αの輸送分子機構について詳細な解析を進めるとともに、LAPTM4αの薬物輸送タンパク質としての機能解析を行なっていく予定である。これまで、HeLa細胞を使って生理機能の解析を行なってきたが、その他のがん細胞にも着目して、その生存率を検討する必要がある。とくに、主な薬物輸送タンパク質のひとつであるP-糖タンパク質を高発現した細胞と発現量の少ない細胞とを用いて、LAPTM4αの寄与について解析を行ないたいと考えている。同時に、これまでに報告されているP-糖タンパク質およびMRPとの基質特異性を比較解析することにより、LAPTM4αとこれらの薬物輸送ポンプとの機能的相関性について検討する。LAPTM4αを過剰発現させた細胞をMRPの阻害剤で前処理し、薬物のリソソーム内隔離に対する阻害剤の効果を解析することで、LAPTM4αがMRPとは異なる分子機構により薬物輸送ポンプとして機能しているか否かについて明らかにする。また、細胞膜に局在するLAPTM4αが抗がん剤の細胞外への排出に寄与するか否か、抗がん剤の細胞内への取り込みをフローサイトメトリーによって定量する。
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Causes of Carryover |
年度途中から、産休及び育休を取得し、本研究が中断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に、細胞培養用試薬やトランスフェクション試薬、生化学実験用のセファロースや抗体等の試薬を用いた実験を行なう予定なので、物品費として使用する予定である。また、現在、これまでの研究結果を論文にまとめており、論文投稿費としても使用する予定である。
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