2016 Fiscal Year Research-status Report
マウス生体内マスト細胞におけるGATA2の機能解析
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15K19014
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大森 慎也 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助教 (10509194)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マスト細胞 / GATA2 / Cebpa / 形質転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、マスト細胞における転写因子GATA2の役割を明らかにする目的で、Gata2コンディショナルノックアウトマウスの骨髄細胞からマスト細胞を樹立し(以後BMMCs)、薬剤誘導的にGata2を欠失させ解析を行った。その結果、1)マスト細胞に特徴的な遺伝子の多くがGATA2によって制御されていること、2)骨髄球分化過程に重要な役割を果たすCebpaの発現をGATA2が直接抑制していること、3)BMMCsにおいてGATA2がCebpaを抑制することがマスト細胞の形質維持に必須であることを明らかにした(Ohmori et al., Blood. 2015)本申請課題では、この二つの事象が生体内のマスト細胞でも起こるのか否か検証することを目的とした。平成27年度は予定通り移植実験を中心に解析を行った。蛍光タンパク質であるTdTomatoを発現するGata2欠失BMMCsを樹立し、腹腔に移植実験を行った結果、TdTomato陽性のコントールBMMCsは移植から1週間後に腹腔内で存在が認められたのに対し、TdTomato陽性Gata2欠失BMMCsは存在が認められなかった。次にマスト細胞だけでなく、全身性にGata2を欠失するマウスで解析を行った結果、二次的な作用によって解析を遂行することができなかった。そこで平成28年度は、マスト細胞特異的かつ薬剤誘導的にCre組み換え酵素が働くマウスを樹立することを課題とし、マスト細胞のみで発現することが知られているCma1遺伝子の制御領域を広く含むbacterial artificial chromosome(BAC) DNAを用いて、構築作成およびTGマウス(Cma1-BAC-CreERT2マウス)の作成を試みた。受託作成に依頼したところ13ラインのBACDNAが挿入されたマウスが確認され、現在ライン化に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度に予定していた「マスト細胞特異的にCreERT2を発現するマウス(Cma1-BAC-CreERT2マウス)の構築作成と樹立」に関しては、BAC-DNAの構築作成は問題なく実施され、次いで受託作成により13ラインのBAC-DNAが挿入されたマウスが確認された。一方、申請書に記載した「炎症発症時のマスト細胞におけるGATA2の発現解析」に関しては、miltenybiotech社の細胞分散装置を用いて生体内のマスト細胞採取を複数回試みたが採取困難であり実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はBAC-DNAが挿入された13匹のマウスについてライン化と発現解析を進める。現在、CreERT2の作用によりTdTomatoを発現するRosa26-TdTomatoマウスがオス・メス共に十分数確保できているので、このマウスと交配しライン化と発現解析を同時に行う。また有用なマウスがライン化された場合、GATA2コンディショナルノックアウトマウスと交配し解析を行う。
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Causes of Carryover |
TGマウスの受託作成を依頼する際に、年度を跨いだため繰越しを申請した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
作成されたTGマウスのライン化と発現解析にかかる諸費用(マウス飼育費、生化学・分子生物学的な解析に用いる試薬類)として使用する。
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Research Products
(4 results)