2015 Fiscal Year Research-status Report
ウイルスタンパク質のチロシンリン酸化に着目したC型肝炎ウイルス増殖機構の解析
Project/Area Number |
15K19021
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
山内 翔太 福井大学, 医学部, 特命助教 (00728941)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス / ウイルス-宿主相互作用 / チロシンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
C型肝炎ウイルスは肝臓に慢性の炎症を引き起こし、肝細胞がんの原因にもなるRNAウイルスである。C型肝炎ウイルスは肝細胞へ感染すると、ウイルスRNAの複製とウイルスタンパク質の合成を繰り返し、これらを部品としてウイルス粒子を形成する。ウイルス粒子は肝細胞の分泌機構を介して放出され、別の肝細胞に感染する。 C型肝炎ウイルスのウイルスタンパク質NS5Aは、ウイルスRNAの複製とウイルス粒子の形成の両方に必要なリン酸化タンパク質である。低リン酸化型(p56)のNS5AはウイルスRNAの複製を、高リン酸化型(p58)のNS5Aはウイルス粒子の形成をそれぞれ促進するとされる。NS5Aをリン酸化するキナーゼの一つとして、セリン/スレオニンキナーゼであるカゼインキナーゼが同定されている。 本研究では、c-AblによるNS5Aのチロシンリン酸化が、ウイルス粒子形成に必要であることを明らかにした。また、変異ウイルスを作成するなどして、NS5Aのチロシンリン酸化部位を同定した。このリン酸化の役割をさらに詳細に調べたところ、ヌクレオカプシドがエンベロープを獲得する過程に関与することを示唆する結果を得た。 NS5Aのチロシンリン酸化の役割を見出したのは本研究が初めてである。NS5A(またはNS5)の宿主キナーゼによるリン酸化は、フラビウイルス科に共通して見られる特徴であることから、フラビウイルス科に属するほかのウイルスの粒子形成機構を解明する上で、有用な成果が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、変異ウイルスなどを用いて、NS5Aのチロシンリン酸化の意義を明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
NS5Aのチロシンリン酸化がウイルス粒子形成に必要であることが明らかになったが、そのメカニズムは不明である。今後はチロシンリン酸化NS5Aの生化学的解析を通して、NS5Aがどのようにウイルス粒子形成を促進するのかを調べていく予定である。
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Causes of Carryover |
抗体などの消耗品の購入費が想定を下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
老朽化した実験機器の更新などを検討している。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Hepatitis C virus particle assembly involves phosphorylation of NS5A by the c-Abl tyrosine kinase2015
Author(s)
Yamauchi, S., Takeuchi, K., Chihara, K., Sun, X., Honjoh, C., Yoshiki, H., Hotta, H., and Sada, K.
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Journal Title
J. Biol. Chem.
Volume: 290
Pages: 21857-21864
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Role of c-Abl in hepatitis C virus particle assembly2015
Author(s)
Yamauchi, S., Takeuchi, K., Chihara, K., Sun, X., Honjoh, C., Yoshiki, H., Hotta, H., and Sada, K.
Organizer
第38回日本分子生物学会年会・第88回日本生化学会大会合同大会
Place of Presentation
神戸
Year and Date
2015-12-02
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[Presentation] Role of NS5A tyrosine phosphorylation in hepatitis C virus particle assembly2015
Author(s)
Yamauchi, S., Takeuchi, K., Chihara, K., Sun, X., Honjoh, C., Yoshiki, H., Hotta, H., and Sada, K.
Organizer
第63回日本ウイルス学会学術集会
Place of Presentation
福岡
Year and Date
2015-11-23
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