2015 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス防御によるアルツハイマー病治療原理の確立
Project/Area Number |
15K19036
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
橋本 翔子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (50632890)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | グルタチオン量低下マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、アルツハイマー病病理進行における酸化ストレス・及び酸化ストレス防御機構であるグルタチオンの影響を調べることを目的としている。初年度は主に、グルタチオン量低下マウスの作製に尽力した。グルタチオン量低下マウスは、グルタチオン合成酵素であるグルタミルシステインリガーゼを構成する2つのサブユニット(GCLC, GCLM)のノックアウトによって作製した。GCLC, GCLMノックアウトマウスの作製はCRISPR/Cas9のゲノム編集技術を用いて行った。実際、作製したマウスを解析した結果、目的の遺伝子配列の破壊を確認し、ノックアウトマウスの作製に成功した。また、GCLC及びGCLMのタンパク質量の減少、グルタチオン量の減少がみとめられた。さらに、これらのノックアウトマウスをADモデルマウスであるAPP-ノックインマウスと交配し、現在、病理解析の段階に進んでいる。 研究計画で予定をしていたAPPノックインマウスを用いたレドックスプロテオミクスについては、今年度は進められなかった。 一方、APPノックインマウスにおけるグルタチオン量を解析し、その結果、APPノックインマウスではグルタチオン量の減少することを発見した。グルタチオン量の減少は、実際のアルツハイマー病患者でも見られる現象である。さらに。APPノックインマウスにおけるグルタチオン量の減少は、GCLCのタンパク質量の減少に起因することもわかった。そこで、現在はAPPノックインマウスでGCLCタンパク質量が減少するメカニズムの解析を行っており、今年度も解析を続ける予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定をしていたレドックスプロテオミクスに関しては、進められなかったが、グルタチオン量低下マウスの作製とその病理解析については、研究計画以上に進歩することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
グルタチオン量低下ADモデルマウスの病理解析を引き続き行い、月齢依存的な病理変化を明らかにする。これにより、グルタチオンがAD病理に及ぼす影響の全容を解明する。APPノックインマウスにおいてグルタチオン量・GCLCの量が減少することを発見したため、今後、そのメカニズムを掘り下げて解析する予定である。また、初年度進められなかったレドックスプロテオミクスを行う。
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[Book] Aging Mechanisms2015
Author(s)
Shoko Hashimoto, Per Nilsson, and Takaomi C. Saido
Total Pages
437
Publisher
Aging Mechanisms: Longevity, Metabolism, and Brain Aging” (Chapter 19 Catabolism and Anabolism of Abeta)