2015 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化ユビキチンとミトコンドリア機能障害に着目したパーキンソン病発症機構の解析
Project/Area Number |
15K19037
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
小谷野 史香 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (50747681)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 蛋白質分解 / ミトコンドリア / リン酸化 / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
1.パーキンソン病患者脳切片を用いたリン酸化ユビキチンの免疫染色 パーキンソン病患者の剖検脳から作製した脳切片を使用し、抗リン酸化ユビキチン抗体で免疫染色を行った。パーキンソン病において、特徴的に神経細胞が変性・脱落する中脳黒質のみならず、他の脳部位においても、抗リン酸化ユビキチン抗体陽性の所見が観察された。神経細胞内のレビー小体の内部だけではなく、周囲にもリン酸化ユビキチンの集積が観察されたことが興味深い。現在、健常脳と比較して、リン酸化ユビキチンの蓄積が有意に高いかどうかを調べている。また、性別、年齢、脳部位、パーキンソン病の診断ステージに応じて細かく分類し、リン酸化ユビキチンの蓄積が孤発性パーキンソン病の診断マーカーのひとつとして利用できる可能性を検討する予定である。 2.PARKINノックアウトマウスを用いたパーキンソン病疾患モデルマウスの作製と表現型解析 mtDNAポリメラーゼ・ガンマ(以下、POLG)は、ヒトのミトコンドリアにおいて見出されている唯一のDNAポリメラーゼである。POLGの校正機能を触媒する部分に点変異を導入したmtDNA mutator マウス(POLG D257A/D257A)は、mtDNAの変異が蓄積することで野生型よりも早く老化現象が出現することが報告されている。本年度、mtDNA mutatorマウスとPARKINノックアウトマウスを交配し、POLG D257A/D257A, PARKIN-/-マウスを作製した。現在、比較対照群となる野生型マウス、POLG D257A/D257Aマウス、PARKIN-/-マウスとともに、個体数を増やしながら、行動解析の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パーキンソン病の発症機構を根本から理解するためには、試験管内での実験のみならず、より生理的で複雑な条件下での検討が必須である。本研究では、パーキンソン病患者の脳切片やマウス個体を用いた解析を進めている。現時点において、抗リン酸化ユビキチン抗体による組織染色や、パーキンソン病疾患モデルマウスの作製が良好に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.パーキンソン病の脳神経細胞において、リン酸化ユビキチンの集積が認められた。しかしながら、リン酸化ユビキチンと結合している蛋白質についても解析する必要がある。そこで、抗リン酸化ユビキチン抗体に加え、抗ミトコンドリア抗体や、コントロールとして抗ユビキチン抗体などを用いた染色も同時に行うことで、今後より進展する結果が得られると考えている。
2.mtDNA mutator マウス(POLG D257A/D257A)の表現型が現れる時期は、生後約1年齢である。比較対照群を含めた4群の個体数を十分に増やしながら、体重測定や行動解析(pole test、ロータロッドテスト)を進めていく予定である。
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[Presentation] 未定2016
Author(s)
Fumika Koyano
Organizer
第39回日本分子生物学会年会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県・横浜市)
Year and Date
2016-12-01 – 2016-12-01
Invited
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