2015 Fiscal Year Research-status Report
PCSK9の形態が家族性高コレステロール血症や肥満・糖尿病に及ぼす影響の解明
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15K19038
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
堀 美香 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (60598043)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PCSK9 / 家族性高コレステロール血症 / バリアント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、PCSK9の形態が家族性高コレステロール血症 (FH) やメタボリックシンドロームのような病態に及ぼす影響について明らかにすることを目的とする。本年度は、①スタチンのPCSK9 の形態への影響の検討、②FH 患者におけるPCSK9 遺伝子変異の検索、③PCSK9 変異体の in vitro 機能解析を行った。①当センターを受診した高コレステロール血症患者10名に対し、アトルバスタチン 5 mg の服用前と服用3ヶ月後の2回の採血で得られた血清から ELISA により「成熟型」及び「切断型」PCSK9 を測定した。血清LDL-コレステロール値は、投与後に約40%低下したが (p<0.0001)、「成熟型」及び「切断型」PCSK9 量は、投与前後で差は認められなかった。②当センターを受診したFH へテロ接合体に対し、LDLR 及びPCSK9に対する遺伝子解析を実施している。PCSK9 変異については、E32K、V4I 等が検出された。PCSK9 V4IとLDLR変異の組み合わせでは、LDLR 変異単独に比較してLDL-C 値の上昇及びFHの冠動脈疾患の発症頻度の有意な増加が認められ、この成果について論文発表を行った (Ohta, N, Hori M et al. J Clin Lipidol. in press)。③PCSK9 V4I、E32Kは FH の原因となると考えられるが、その機能については明らかになっていない。これらの変異体の機能解析を行うために、各変異を有するFLAGタグ付きプラスミド を作製し、HepG2細胞に導入した。その結果、E32K 及び V4I の発現・分泌量は WT と同程度であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度にLdlr-/-hPCSK9+/+ マウスを用いて、PCSK9 の形態がFHやメタボリックシンドロームの病態に及ぼす影響について検討する予定であった。しかしながら、Ldlr-/-hPCSK9+/+ マウスを作成するにあたって、hPCSK9+/+ マウスの繁殖がうまくいかず、一度胚保存した。現在は、海外のラボからのマウスの譲渡についても検討している。このため、本年度は、平成28年度に予定していた PCSK9 変異体 (E32K、V4I) のin vitro 機能解析を先に行った。
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Strategy for Future Research Activity |
PCSK9 V4I 及び E32K の機能の解明、ヒトサンプルを用いたFH におけるPCSK9の形態が病態に与える影響の検討を行う。Ldlr-/-hPCSK9+/+ マウスが作製できたら、高脂肪食負荷時の組織及び血清中の PCSK9 の形態について検討する。Ldlr-/-hPCSK9+/+ マウスの作製がうまくいかない場合は、計画を変更し、PCSK9の形態を制御する因子の網羅的探索を行う予定である。
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Causes of Carryover |
Ldlr-/-hPCSK9+/+ マウスを用いた実験を次年度に持ち越したため、持ち越し金が発生した。また、新たな実験項目として、PCSK9の形態を制御する因子の網羅的探索を行う可能性があるため、出来る限り節約して実験を行い、次年度へ持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Ldlr-/-hPCSK9+/+ マウスを用いた実験もしくはPCSK9の形態を制御する因子の網羅的探索に使用する。
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