2015 Fiscal Year Research-status Report
食道扁平上皮癌の増幅遺伝子SOX2のmiRNA発現制御を介した発癌促進機構の解明
Project/Area Number |
15K19040
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
玄 泰行 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80596156)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | SOX2 / PTEN / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
SOX2の遺伝子増幅を認める食道扁平上皮癌細胞KYSE140、KYSE70に対してSOX2をノックダウンしたクローンをshRNAを用いて作成した。それらの細胞において、コントロールの細胞と比較し、SOX2の発現低下に伴って発現が低下しているmiRNAを探索する目的でPCR arrayを行った。その結果、miR-17 clusterを含め、複数のmiRNAの発現低下を認めた。miR-17 cluster(miR-17, miR-18, miR-19a, miR-19b-1, miR-20, miR-92)について、定量PCRを行い、arrayの結果を検証した。
PTENをターゲットにしているmiRNAとしてmiR-17 clusterのうち、miR-17, miR-19a, miR-19b-1が報告されていることからこれらのmimicおよびinhibitorを用いてin vitroでPTENの抑制効果を調べた。miR-17については、SOX2を抑制した細胞株に対してmimicを導入してもPTENの抑制は確認できなかった。一方、miR-19a, miR-19b-1はともにこれらの細胞にmimicを導入するとPTENは抑制された。逆にSOX2を抑制していないコントロールの細胞に対してinhibitorを導入すると、miR-19a, miR-19b-1とも程度の差はあるもののPTENの増加を認めた。
以上の結果から、SOX2の遺伝子増幅に伴い、miR-17 clusterは増加し、その結果PTENが抑制されていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2つの細胞株において、SOX2の抑制に伴い発現が低下している共通のmiRNAをPCR arrayを用いて拾い上げることがある程度可能であった。安定してSOX2の発現をノックダウンしたクローンを用いることで一過性のノックダウンの実験を省くことができ、miRNA mimicやinhibitorの導入を簡便に行うことが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
miR-17 clusterの発現制御をSOX2がダイレクトに行っているかどうかを検証する。まずは、クロマチン免疫沈降を行い、miR-17 clusterのプロモーター領域にSOX2が結合しているかどうかを検証する。また、PCR arrayで発現が低下していた他のmiRNAについても発現の確認(定量PCR)、mimic、inhibitorを用いたin vitroの解析を行う。
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Causes of Carryover |
余った金額で購入できる必要な試薬がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する。用途としては培養試薬や抗体、miRNA mimicなどの物品費に充てる。
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