2016 Fiscal Year Annual Research Report
Intraductal papillary neoplasm of the bile duct: histological and molecular analysis of 27 patients
Project/Area Number |
15K19064
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
内藤 嘉紀 久留米大学, 大学病院, 講師 (50465712)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肝胆道系腫瘍 / 胆管内乳頭状腫瘍 / 診断病理学 / 分子病理 |
Outline of Annual Research Achievements |
胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)は胆管癌の前癌・早期癌病変として提唱されたが、IPNBの分子病理学的特徴が依然として明確に提示されていないのが現状である。特に、発生部位による臨床病理学的相違点や肝外IPNBと浸潤性胆管癌(乳頭腺癌)の類似性が問題点として浮き彫りとなっている。本研究では、当院で経験された肝内及び肝外IPNBを用いて、発生部位による臨床病理学的相違点を明らかにする事を目的とした。 研究方法は、肝内IPNB 10症例と肝外IPNB 17症例を用いて、両群間の特徴を明らかにする事とした。免疫組織化学染色は、MUC1、MUC2、MUC5AC、MUC6、P53、P16染色を用いて評価し、遺伝子異常としてKRAS、BRAF、PIK3CA、GNAS遺伝子異常の確認を行った。 結果は、肉眼的粘液産生は肝外IPNBではみられなかった(P<0.001)。組織学的浸潤に有意差はなく(P=0.584)、リンパ節転移症例は肝外IPNB 1症例のみ、再発例は肝内IPNB 1症例であった。生存期間も局在による有意差はなかった(P=0.899)。粘液形質は、MUC5ACのみ肝内IPNBで多くみられた(P<0.05)。遺伝子異常については、P53、P16免疫組織化学染色の発現について両群間に有意差はなく(P=0.637、P=0.118)、KRAS遺伝異常も有意差はなかった(P=0.529)。PIK3CA遺伝子異常は肝内IPNBでみられなかったのに対し、肝外IPNBでは6% (1/16)でみられた (P=0.663)。GNAS、BRAF遺伝子異常については、全例で認められなかった。 本検討からは、肝内・肝外IPNBの間で肉眼形態やMUC5AC発現の違いは捉えられたが、遺伝子異常の差異はみられなかった。今後は、通常型胆管癌との相違点を中心に研究を進めたい。
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