2015 Fiscal Year Research-status Report
膵がん腫瘍免疫におけるInnate lymphoid cellの役割に関する研究
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15K19066
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
吉田 裕 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (70750751)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膵癌 / 腫瘍免疫 / innate lymphoid cells / 発がん / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
Innate lymphoid cells(ILCs)は、多様なサブセットを有するT細胞に匹敵するような、新たなリンパ球系細胞群として、その存在がごく最近明らかになり注目を集めている。しかし腫瘍免疫におけるILCsの役割は未だ十分に解明されていない。本研究では、難治がんである膵がんを対象とし、ILCsの腫瘍免疫における意義・役割について理解を深めることを目的に、ILCsが膵がん免疫微小環境形成にどのように寄与しているのかを、ヒト臨床材料とマウス膵がんモデル系を用いて検討する。また膵発がん・進展過程におけるILCsの作用点やヒト膵がんにおけるILCsの臨床病理学的意義についても検討する。 1. ヒト進行膵がん腫瘍免疫における役割とその機序に関する検討。 A. 各種ILCsについて、ヒト膵がんにおける予後を含めた臨床病理学的意義の検討: 外科切除された膵がん組織(ホルマリン固定バラフィン包埋組織、新鮮凍結組織)に対する免疫組織化学染色によるIILCsの腫瘍組織への浸潤の同定のため、各ILCsサブセットに対する検出方法を検討中。現時点では、表面マーカーと転写因子に対する抗体を用いた二重染色法を検討しているが、染色条件の設定が難しく、進捗が遅れている。 B. 各種ILCsと関連性の高い免疫微小環境およびその形成機序についてILCsを主体に検討: 各種ILCsとそれ以外の免疫細胞系(T細胞各サブセット、B細胞、樹状細胞各サブセット、骨髄球系各細胞・各サブセット、等)との浸潤様式、免疫関連分子をコードする遺伝子発現、免疫チェックポイント分子(PD-L1, CTLA-4, VISTA, TIM-3等)発現との関係を検討予定。上記A達成後に進める予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
① 組織学的なILCs同定方法として採用を検討している免疫組織化学(二重染色法)の条件検討に難渋しており、以降のプロセスが進行していない。 ② 膵発癌モデルマウスの作製と、ILCs欠損状態(骨髄キメラマウス)作製の方法を検討することに時間を要し、マウス入手が海外からになることによる遅延が生じている。 ③ 申請時には40%のエフォートを充てられる予定であったものが、病院勤務環境の変化により、研究に充てられる時間が大幅に減少していること。
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Strategy for Future Research Activity |
① ILCsの免疫組織化学(二重染色法)による同定を成功させ、臨牀病理学的解析のプロセスを進める。 ② 膵発癌モデルマウスの作製と、ILCs欠損状態(骨髄キメラマウス)作製を進める。
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Causes of Carryover |
一年目に進行させる実験が、条件検討段階で大幅に遅延しており、必要物品・実験動物の購入予定が二年目にずれ込んでいること。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一年目に購入予定であった物品・実験動物について、本年度購入する予定である。
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