2017 Fiscal Year Annual Research Report
Why does atopic dermatitis often relapse in the same skin region?
Project/Area Number |
15K19076
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
村田 暁彦 鳥取大学, 医学部, 助教 (90624221)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / 接触性皮膚炎 / 皮膚局所の免疫記憶 / 組織常在性記憶T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎の局所的な再発に関与する局所の免疫記憶の機構に関して更に検討を重ねた。BALB/cマウスの炎症を経験した皮膚では、CD4+/CD8+記憶T細胞が長期間その場に留まり、抗原再暴露時に炎症反応が増大する(局所の免疫記憶の反応)。この反応は、T/B細胞を欠損するC.B-17 SCIDマウス、胸腺を欠損するBALB/c-Foxn1nu/nuマウス、及びTCRトランスジェニックマウス(BALB/c-DO11.10)では全く観察されなかった。更に、BALB/c-DO11.10マウスに野生型BALB/cマウスのT細胞を養子移入したところ、局所の免疫記憶の反応を生じさせることができた。これらの結果から、抗原特異的記憶T細胞が局所の免疫記憶の反応を担っていることが分かった。皮膚に留まるT細胞の表現型をフローサイトメトリーで解析したところ、近年発見された新しい記憶T細胞サブセットである組織常在性記憶T細胞の表面マーカー(CD103+CD69+)を発現することが分かった。 次に、抗原再暴露時に組織常在性記憶T細胞から放出されるサイトカインを同定するため、経時的に皮膚組織のmRNA発現を解析した。炎症経験のある皮膚では、それが無い皮膚に比べ、再暴露後1.5時間でインターフェロンγ(IFNγ)の発現が突出して亢進することを見出した。よって抗原の再暴露により、組織常在性記憶T細胞が迅速に大量のIFNγを放出することが、炎症反応増大の引き金になっていることが示唆された。 以上のことから、アトピー性皮膚炎の局所的な再発には、炎症を経験した局所に形成される組織常在性記憶T細胞が重要であることが示唆された。組織常在性記憶T細胞を除去、または、その活性化を阻害することで、アトピー性皮膚炎の局所での再発を防止することが出来る可能性が示された。
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