2016 Fiscal Year Research-status Report
腸管粘膜付着における病原真菌カンジダ・グラブラータ マンナンタンパク質の機能解明
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15K19090
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 美智代 千葉大学, 真菌医学研究センター, 特任助教 (70525386)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カンジダ・グラブラータ / GPIアンカー型タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
病原真菌カンジダは免疫不全患者において重篤な日和見感染症を引き起こす。カンジダ種の中でもカンジダ・グラブラータは、キャンディン系(細胞壁合成阻害)やアゾール系(エルゴステロール合成阻害)の抗真菌薬に対する耐性菌の出現率が高く、患者からの分離頻度が年々増加し問題となっている。本研究では、宿主細胞への腸管粘膜からの感染機構の解明を目的として、宿主細胞への付着に必要な因子を明らかにすることを目指す。 本年度は、前年度に続き、所属研究室の所有する遺伝子欠損ライブラリーに不足していた遺伝子欠損株(GPIアンカー型タンパク質をコードする遺伝子 10個)の作製を早急に行った。宿主細胞への付着に必要な因子のスクリーニングとして、(1)マウスへの口腔摂取、(2)腸管からの菌体の回収、(3)腸管への付着率低下株の次世代シークエンサーによる同定の工程からなる系を構築した。これまでに、(1)(2)については実験系の確立に成功しているが、(3)の次世代シークエンスによる菌株の同定までには至っていない。現在、次世代シークエンサーによる解析について条件検討を行い、改良中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度、育児休暇取得により、研究に着手できなかったため。また、スクリーニングの構築に時間を要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、検証中のスクリ-ニング系を用い、宿主細胞への付着に必要な因子の同定を行う。同定したマンナンタンパク質が、宿主細胞の付着に直接関与することを検証する。具体的には、細胞への付着能の低いパン酵母で同定したマンナンタンパク質を発現させることにより、付着能が上昇するか、ヒト大腸癌細胞 Caco-2 を用いたin vitro アッセイ系で調べる。また、透過電子顕微鏡により同定したマンナンタンパク質欠損株の細胞壁の構造変化の有無について調べ、宿主付着との関連性について明らかにする。さらに、マンナンタンパク質と結合する宿主細胞側付着因子の探索を行う。
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Causes of Carryover |
初年度、育児休暇により当初の研究進捗に遅れが生じ、今年度購入予定の物品購入や学会発表に必要な旅費の使用が少なかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在構築中の宿主付着因子スクリーニング系で用いるマウスや次世代シークエンス解析のための費用として使用する予定である。
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