2016 Fiscal Year Research-status Report
らい菌が有する未知の成分が惹起する宿主細胞の泡沫化と感染メカニズムの解明
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15K19097
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
谷川 和也 帝京大学, 薬学部, 助教 (10443110)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Mycobacterium leprae / triacylglycerol |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はらい菌感染によって蓄積されるトリアシルグリセロールに関して、新規にTAG合成を担うグリセロールリン酸経路の律速酵素グリセロリン酸アシルトランスフェラーゼ3の発現増加を誘導することでTAG蓄積が促されることを明らかにし、またその分子種についてもLC/MS/MS解析によって同定することができた。本年度はTAGの蓄積についてらい菌のコントロールを用いて絶対量および相対的な変化についてTLCで評価した。らい菌のコントロールとして、細胞壁成分であるペプチドグリカン(PGN)、宿主マクロファージの活性化として分化誘導剤であるPMA、貪食のコントロールであるラテックスビーズを用いた。その結果、TAGの蓄積はコントロールであるペプチドグリカンやPMA、ラテックスビーズでも促されたが、らい菌において顕著であった。これらのことより、マクロファージにおいて、Toll様受容体(TLR)などの既知の成分を介した活性化や異物の貪食だけでなく、らい菌の細胞壁成分における未知の成分が重要であることが示唆された。 GPAT3はPPARgによって制御されていることが知られている。そこで発現量についてマイクロアレイのデータやRT-PCR解析二よって、感染によって増加していることがわかった。これらのことより、らい菌は、宿主マクロファージに感染するとらい菌由来のPPARgを活性化する成分を介してGPAT3のpromoter上流に結合することが重要である可能性が考えらえれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロアレイの結果を有しているため、PPARgが制御している脂質代謝関連遺伝子がある程度えらえれるため、時間が短縮できていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
PPARrのアンタゴニストを用いて、らい菌感染時のGPAT3発現誘導への影響や、脂質蓄積への影響を評価する。また、GPAT3について、CRISPR/Cas9システムを利用してTHP-1細胞のノックダウン細胞を作製し、らい菌感染によって蓄積する脂質成分やTAG分子種についてコントロール細胞と比較検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた研究が早く進んだため、今年度の予定額を下回ったと考えています。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究はうまくいっているため、計画の変更はありません。平成29年度分と合算して研究用消耗品・旅費等に使用する予定です。
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