2015 Fiscal Year Research-status Report
肺真菌症における新規PAMPsの病態における意義と活性化メカニズムの検討
Project/Area Number |
15K19098
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
石橋 健一 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (20453805)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 病原真菌 / アスペルギルス / 細胞壁多糖 / グルカン |
Outline of Annual Research Achievements |
アスペルギルスは日和見感染を引き起こす主要病原真菌である.我々はこれまでに,α-1,3-グルカンはアスペルギルス細胞壁主要構成多糖であり,菌種・菌株ごとに含量が異なっている事を報告した.本研究では,アスペルギルス細胞壁α-1,3-グルカン(ASAG)を調製し,生物活性を検討した. A. fumigatus NBRC33022の脱脂乾燥菌体をNaClO溶液に懸濁し1夜酸化し,次亜塩素酸酸化菌体OX-Aspを得た.このOX-Aspを8M Ureaに懸濁し,121℃ 20min処理した.この反応液を遠心分離し,上清と沈殿に分けた.沈殿画分を1Dおよび2D-NMR解析したところ,α-1,3-グルカンを主要構成成分とすること事が明らかとなった.沈殿画分をDMSOに懸濁し,超音波処理によって可溶化しASAGを得た.ASAGを糖組成分析したところ,主要構成糖はグルコースであり,元素分析したところ,窒素含量は0.5%であった.また,C57bl/6マウス脾臓細胞をASAGで刺激し,48h培養後,上清中の炎症性サイトカインTNF-α産生濃度を検討したところ, 刺激濃度依存的にTNF-α産生が認められた. ASAGに関する研究は少なく,その生物学的意義については良く知られていない.本研究において,次亜塩素酸酸化およびUreaオートクレーブ法を用いることで,アスペルギルス菌体から ASAGを調製することが出来た.ASAGは,脾臓細胞からTNF-α産生を誘導したことから,アスペルギルス感染に伴って起きる肺炎やグラニュローマ形成の病態に関与していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アスペルギルスAGの調製と物性の確認,アスペルギルスAGの免疫細胞活性化および血清における抗アスペルギルスAG抗体価の検討の検討についてはおおむね順調に進展している.一方で,アスペルギルスAGによる活性メカニズムの検討:AG活性化細胞集団の検討,シグナル伝達経路の検討はやや遅れているが,少しずつ検討している.全体的にはおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
アスペルギルスAGによる病態誘発作用の検討について,マウスモデルを用い検討し,in vivoにおけるアスペルギルスAGの生物活性について明らかにする.アスペルギルスAGによるβ-グルカンの生物活性に与える影響も検討を進める.アスペルギルス菌体にはAGとβ-グルカンが共存しており,相互の生物活性への影響を明らかにする.抗アスペルギルスAG抗体価の検討の検討については,血清検体を用いた検討を進め,本抗体の意義について検討する.
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Causes of Carryover |
本年度においては,アスペルギルス菌体の培養,細胞壁多糖の調製にはこれまでに所存していた試薬を用いた.学会事務局を務め,事務局としてのエフォートが生じ,研究費を使用するペースがゆっくりになったことが挙げられる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,マウスモデルでの動物実験も計画されており,それらにおける生物活性を評価するために抗体などの試薬が必要である.予算をすべて使用する予定である.
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