2017 Fiscal Year Research-status Report
新規リコンビナントBCG接種と結核菌潜伏感染の関係:結核菌の完全排除は可能か?
Project/Area Number |
15K19100
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
塚本 裕美子 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (50554507)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | BCG / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は代表者らが開発したリコンビナントBCG株であるBCG-PHMのワクチン効果についてより詳細な解析を行うものである。BCG-PHMをマウスに接種後結核菌を感染させると、現行のBCGワクチン株と比較して結核菌の増殖を10倍以上抑制する。しかし、BCG-PHM接種でもすべての結核菌をマウスの生体外に排除することはできていない。 宿主に感染した結核菌は宿主の免疫細胞内において、増殖期から休眠期と呼ばれる状態に移行することが知られている。休眠期の結核菌を免疫応答により排除することは困難である。BCG接種化のマウス生体内においては、結核菌の休眠期への移行がBCG非接種マウスと比較して早期に誘導され、結核菌の宿主からの排除が困難になっている可能性がある。そこで本研究では、BCGワクチン接種化のマウス生体内での結核菌の休眠期移行へのタイムコースと宿主免疫応答活性化のタイムコースを比較し、BCGワクチン施主による結核菌の完全排除が可能であるかどうか検討することを目的としている。 平成28年度までの解析結果から、マウス肺中の結核菌RNAを抽出して解析する系では極めて微量のRNAのみ抽出されるため、安定的に遺伝子発現を解析するのは困難であることが明らかになった。そこで、平成29年度は、結核菌感染後の宿主細胞における遺伝子動態について解析を行った。BCGコントロール株、BCG-PHM株、もしくはPBSを接種したマウスに結核菌を感染させ、感染後にマウス肺から宿主RNAを抽出し遺伝子解析を行った。その結果、結核菌に対する強いワクチン効果を発揮するBCGでは宿主の複数の遺伝子の発現に特徴が見られる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス感染肺から結核菌RNAを十分量抽出し、データを得るためのプロトコルの検討に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画で予定していた、マウス肺から抽出した結核菌RNAを用いた結核菌の遺伝子動態の解析を安定的に行うことは困難であることが明らかになったため、今年度は結核菌感染による宿主免疫細胞の応答に注目して解析を行う。現在注目している複数の遺伝子の動態についてさらに解析を行いBCGのワクチン効果との関連について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
研究経過が予定より遅れているため、平成30年度への繰り越し分が発生した。 上欄に記述した平成30年度の研究計画に沿い、BCG接種したマウスの結核菌免疫応答の解析に使用する予定である。
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