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2016 Fiscal Year Research-status Report

百日咳菌の自己凝集能に関する研究

Research Project

Project/Area Number 15K19101
Research InstitutionNational Institute of Infectious Diseases

Principal Investigator

大塚 菜緒  国立感染症研究所, 細菌第二部, 主任研究官 (90596610)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords百日咳菌 / 自己凝集 / 線毛
Outline of Annual Research Achievements

百日咳菌の臨床分離株には、自己凝集を示す菌株が存在することが古くから知られていたが、その明確な要因については明らかにされていなかった。本研究では、自己凝集株を親株とした自己凝集消失株の分離を行い、次世代シーケンサー解析により両株の全ゲノムを比較した。その結果、rpoA及びfim3遺伝子のプロモーター領域に変異が見つかった。イムノブロット解析を行ったところ、RpoAタンパク質は両株で同程度産生されていたのに対し、Fim3タンパク質は自己凝集消失株で産生が欠損していることが明らかとなった。次に、強い自己凝集能を有する臨床分離百日咳菌BP300株を元に、fim3遺伝子破壊およびfim3 and/or fim2遺伝子の相補実験を行った。この結果、やはりfim3遺伝子破壊により自己凝集能は失われ、fim3遺伝子の相補により自己凝集能の回復が認められた。近年の百日咳菌国内臨床分離株は9割以上がFim3産生株であるが、この中でも自己凝集株/非自己凝集株が存在する。臨床分離株についても抗Fim3抗体を用いたイムノブロット解析を行ったところ、自己凝集株では非自己凝集株よりもFim3の産生量が有意に高いことが判明した。したがって、百日咳菌の自己凝集を引き起こす要因がFim3産生、特に産生量が多い場合に引き起こされることが明らかとなった。ところで、百日咳菌自己凝集株BP300SmrをCSM培地にて30℃培養(通常培養温度36℃よりやや低温)すると、顕著に生育の早いコロニーが出現した。BP300Smrは36℃培養ではFim3のみを産生するが、30℃培養で生育の早いコロニーではFim2のみを産生しているものが見出された。一般的にヒト鼻腔は咽頭よりもやや温度が低いことから、百日咳菌は生育温度によりFim2/3の産生スイッチを行い、より効率よく宿主に定着する性質を持つことが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度の研究が当初の計画以上に進展したため、百日咳菌の自己凝集についてin vitroの知見は概ね得ることができた。そのため、今年度は培養温度とFimbriae産生の関係について新たに検討を行い、次の動物実験に進むにあたり予備的な知見を得ることができた。

Strategy for Future Research Activity

百日咳菌の自己凝集が、病原性に与える影響について検討する。マウス経鼻感染モデルを用いて高度凝集株、中程度凝集株、非凝集株を感染させ、気管肺胞洗浄(BAL)を実施する。洗浄液(BALF)中および肺ホモジネート液中に存在する生菌数をカウントし、自己凝集の程度(Fim3産生量)とin vivo接着能の関係を調べる。

Causes of Carryover

平成28年度は約6ヶ月間、出産のため研究を中断した期間があった。また、一部は年度末納品等にかかる支払いが平成29年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。

Expenditure Plan for Carryover Budget

上記のとおり。

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Published: 2018-01-16  

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