2017 Fiscal Year Annual Research Report
Fim3-mediated autoagglutination of Bordetella pertussis
Project/Area Number |
15K19101
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
大塚 菜緒 国立感染症研究所, 細菌第二部, 主任研究官 (90596610)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 百日咳菌 / 自己凝集 / 線毛 |
Outline of Annual Research Achievements |
百日咳は主に百日咳菌(Bordetella pertussis)によって引き起こされる急性呼吸器感染症である。ワクチンの導入により百日咳患者数は激減したが、近年ではワクチン接種率の高い先進諸国でも大規模な百日咳流行が繰り返し発生している。世界で流行している百日咳菌株は、この20年間で急速な遺伝子変異の進行が認められており、百日咳菌の病原性変化や百日咳再興との関連が指摘されている。 百日咳菌のうち、in vitroで自己凝集を示す菌株が存在することは以前より知られていたが、その原因および病原性への影響は明らかになっていなかった。本研究事業では、これまでに1)近年の百日咳菌臨床分離株は3~4割が自己凝集能を有すること、2)百日咳菌の自己凝集は線毛Fim3により引き起こされること、3)Fim3産生百日咳菌のうちFim3を高産生する菌株でのみ自己凝集が認められることを確認した。 平成29年度は、自己凝集能およびFim3の高産生が百日咳菌の病原性に与える影響をマウスin vivo接着実験により評価した。本実験ではマウスに百日咳菌を経鼻感染させたのち、肺胞洗浄を行って洗浄液中に回収された菌量および肺組織に残存する菌量を比較解析した。その結果、自己凝集株はFim3低産生株、Fim3非産生株に比べて肺胞洗浄液中に遊離してくる菌量が有意に少なく、肺組織への接着率が高いことが判明した。以上の結果から、百日咳菌のin vitro自己凝集はFim3の高産生によって引き起こされることが明らかとなったが、in vivoではFim3の高産生が菌体の肺内接着に有利に働くことが示唆された。
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