2015 Fiscal Year Research-status Report
1型インターフェロンの抗ウイルス効果に関わるlncRNAの同定とその機能解析
Project/Area Number |
15K19121
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
西辻 裕紀 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (20573661)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 1型インターフェロン / long non coding RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、ウイルス感染抑制に重要な1型インターフェロンシグナルに関与するlong non-coding RNA(lncRNA)を同定するため、1型インターフェロン非応答細胞を作製した。 次に1型インターフェロン応答細胞と非応答細胞を、1型インターフェロン誘導試薬で同時に処理し、その時の遺伝子発現を確認した。 その結果、1型インターフェロンで誘導される4つのlncRNAと1型インターフェロンで抑制される3つのlncRNAを同定した。HCV、HBV、EMCVは1型インターフェロンで強く抑制されるウイルスであることが知られている。そこで、同定した7つのlncRNAの機能評価を行うため、RNAi法によりこれらのlncRNAをノックダウンし、そのときのインターフェロンの効果を評価した。 通常の細胞にHCV、HBV、EMCVをそれぞれ個別に感染させ、1型インターフェロンで処理すると、これらのウイルス複製は強く抑制されるが、申請者が同定した1つのlncRNAをノックダウンさせると、1型インターフェロンの効果が強く阻害された。このlncRNAをlncRNA#32と命名した。 さらにこのlncRNAを強制発現させると、これら3種類のウイルスの複製は1型インターフェロンなしで、強い抑制効果が示された。 これらの結果より、lncRNA#32は1型インターフェロンシグナルに強く関与し、抗ウイルスに重要な役割をしていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画では、1型インターフェロン非応答細胞を作製し、1型インターフェロンで調節されるlong non coding RNA (lncRNA)の同定を行うことを目的とした。 その研究計画に対し、申請者は、非応答細胞の作製、1型インターフェロンで調節されるlncRNAの同定を行い、さらには平成28年度に計画していた、lncRNAの機能評価の一部を達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では、同定したlncRNA#32のメカニズムの解明、結合タンパク質を同定し、1型インターフェロンシグナルとlncRNA#32の関係の解明を行う。
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