2016 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫疾患における形質細胞様樹状細胞の役割と制御機構の解明
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15K19134
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
高木 秀明 宮崎大学, 医学部, 助教 (10719628)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 形質細胞様樹状細胞 / 自己免疫疾患 / I型インターフェロン / Toll様受容体 / 炎症反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、自己免疫疾患におけるpDCsの役割を解明することを目的として、平成27年度では我々が先に樹立したpDCs特異的発現分子であるSiglec-Hの欠損マウス及びpDCs特異的消失マウスを用いて炎症反応におけるpDCsの重要な役割を明らかにした。平成28年度ではマウス尋常性乾癬モデルを用いて皮膚慢性炎症の惹起・遷延化とそれに続く自己免疫病態の形成におけるpDCs の役割とそのSiglec-H を介する制御機構の解明を試みた。 1.Toll様受容体7リガンドであるImiquimod(IMQ)含有クリームを野生型マウス、Siglec-H欠損マウス及びpDCs特異的消失マウスの背部に塗布し病態を比較した結果、野生型マウスと比較してSiglec-H欠損マウスでは病態スコア(紅斑・腫脹・脱落乾燥表皮)が増悪していたが、pDCs特異的消失マウスでは緩和していた。 2.IMQクリーム塗布後の皮膚組織を用いて病理解析を行った結果、Siglec-H欠損マウスでは野生型マウスに比べて皮膚表皮の肥厚、上皮細胞の増殖、炎症組織への白血球の浸潤が亢進していたが、pDCs特異的消失マウスでは減弱していた。 3.IMQクリーム塗布後の血清中サイトカイン産生量の解析を行った結果、Siglec-H欠損マウスでは野生型マウスに比べてI型インターフェロンと炎症性サイトカインの産生量が増加していたが、pDCs特異的消失マウスでは減弱していた。 4.抗Siglec-H抗体の免疫病態制御効果を検討した結果、野生型マウスへの抗Siglec-H 抗体の投与によりコントロール抗体の投与と比較して炎症反応の減弱とそれに伴う病態の緩和が認められた。 以上の結果から、pDCs は尋常性乾癬様炎症の発症・増悪に関与し、Siglec-HはpDCsの機能を負に調節することにより病態を制御することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い、おおむね順調に推移しているため、研究の遂行に特に問題はないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に従い、研究を遂行する。 最終年度は前年度までに得られた知見を元に、全身性エリテマトーデスモデルの免疫病態の形成における pDCs の Siglec-H を介した制御機構の解析を行う予定である。
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