2016 Fiscal Year Research-status Report
遠隔ネットワークを用いた医学生に対する症例報告執筆プログラムの確立
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15K19143
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柿坂 庸介 東北大学, 大学病院, 講師 (90400324)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 症例報告 / 医学教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:本研究は症例報告執筆プログラムを運用し、物理的な距離に制約されない医学教育の一分野の確立を目指す研究である。 現状・方法:症例報告執筆講義ならびに執筆指導は昨年度同様継続されている。予備検討として若手医師を対象にした講義ならびに執筆指導も追加し非対面式の講義・指導の有効性の検討も開始した。一方、これまで症例報告執筆指導の方法論は殆ど検討されていない。本年度は医学生の作成する症例報告の傾向を検討し、適切な執筆指導のための方法を検討したので成果を報告する。すでに症例報告執筆講義を聴講した者またはそれに相当すると判断される者を対象に、対象者の作成する症例報告の初版を検討し執筆傾向ならびに要改善点を抽出した。対象は当時医学部六年生であった三名である。症例報告における症例の疾病はいずれもてんかんが確定診断された症例である。対象者の初稿の内容を評価した。評価にあたっては、あらかじめ成書や論文等を参考に作成した「論文中に情報として提示される際に理想的と考えられる記述形態(1.必要な情報は記載されているか・不要な情報が記載されていないか。2.必要である場合、表現方法や記載部位が適切か)」と、対象者の症例報告原稿初稿の内容を比較し、要改善点を抽出した。 結果:医学生はいずれも、科学的事実と臨床的意義の両者もしくは一方の記載が不十分であった。そのほかの特徴としては、論理展開や病態理解に必要な知識もしくはデータの提示がない、患者や疾患の全体像の理解に重要な記述が不十分、症例提示部に考察が記載される、記述が口語調、等を認めた。 結論:本研究は、これまで論文執筆の教育論のなかで重要だが明確化されていなかった問題点を明らかにした。今後の症例報告執筆指導において重要なのは、執筆の各段階ごとに目的と具体的行動を意識させるような細かな指導である、と結論付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年の講義方法論の確立に引き続き、執筆指導に有用である問題点の抽出が行えた。今後の研究に資する結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られた知見により、症例報告執筆方法論を効率よく理解するための講義様式、ならびに効率的指導法が確立されたといえる。今後は、これらの確立されたソフト面を遠隔テレビ会議システムというハード面とのよりよい統合の在り方も検討する方針である。
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Causes of Carryover |
効率的な研究遂行および発表のために来年度に繰越を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前述の国際会議などで使用予定である。
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Research Products
(1 results)