2016 Fiscal Year Research-status Report
在宅系サービスを中心とした総合的な医療・介護提供体制のマネジメント手法の構築
Project/Area Number |
15K19144
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
佐藤 栄治 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (40453964)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 医療・介護 / 在宅支援サービス / レセプト分析 / サービス提供圏域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,超高齢社会に向かう我が国の地方都市・農山村における持続可能な医療と介護サービスのあり方を継続的に検討するものである.都市部の経済原理を適応できない,もともと脆弱であった医療・介護サービスの提供基盤の整備が急務である地方都市を対象とする. 本年度は,高齢者の在宅ケア環境の評価手法のための知識を得ることを目的とし,主には介護レセプトのデータを分析した.また在宅医療と在宅介護のサービス提供圏について分析するとともに,地理的特徴を踏まえた人口分布や施設密度の観点から,在宅療養支援病院と在宅療養支援診療所を中心としたサービス提供圏について分析を行った. まず理論的な分析として,対象地域を栃木県と設定し,自治体ごとの医療・介護の在宅サービス量の対人口カバー率を算出した.結果として,都市部と相対的に中山間地域でカバー率が低くなった.また在宅療養支援病院・診療所を中心としたサービス提供圏域についてみると,都市部と都市近郊部では負担が小さく,農村部と中山間部で負担が大きいことを定量的に把握した.農村部や中山間部においてサービス提供圏域が大きくなり,在宅医療を提供する医師,看護師,介護を提供する介護師の負担の差が大きい現状は,深刻な問題と言える. 特に介護レセプト等からの分析では,中山間地域において,医療,介護共に在宅支援サービスを展開する事業所ごとに分析を行なった結果,移動の負荷の大きい社会福祉協議会と,マネジメント上ある一定以上の移動の負荷が発生する被介護者は受け入れない民間事業所との差を定量的に把握した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析ついて,高齢者の医療レセプトと介護レセプトとの連結から,現状の在宅サービス提供体制を分析すべきであったが,本年度は介護レセプトのみの分析とした.データ量が多く,分析手法の開発と精緻な分析項目を検討した結果である.ただし,データの取得には合意が得られており,分析対象自治体からのデータ提出を待って,分析を進める.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は,医療レセプトと介護レセプトの連結を行い,分析対象地域の1年間の在宅サービスの実態を分析する.また事業所ごとの分析,市街地部と山間部の地域的な特徴の把握,医療と介護とのサービス提供度合い(乗り入れ具合)等を分析し,必要な在宅サービス量と提供できるサービス量の限界についても分析を行う. また上記の分析にあわせ,医療・介護施設の将来的な整備網を分析するため,対象地域の医療・介護政策を分析する.さらに地域の生活・産業構造のデータを付与する.これにより,対象地域の具体的な問題を顕在化し,施設整備,人材・財政支援,制度設計に向けた基礎的な知見を得た上で,対象地域のマネジメントモデルを明示する.
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Research Products
(3 results)