2015 Fiscal Year Research-status Report
パーソナルゲノム時代における研究協力者参加型アプローチに関する研究
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15K19149
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三成 寿作 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい研究員 (60635332)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電子的IC / e-ガバナンス / パーソナルゲノム / ELSI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、個人の全遺伝情報を大規模に取り扱うパーソナルゲノム時代において、試料を提供する研究協力者の積極的な研究関与のあり方について研究することを目的としている。具体的には、研究協力者への「インフォームド・コンセント」や「解析結果の開示」における情報通信技術(ICT)の適用可能性に焦点を当てている。 平成27年度は、基本的な文献調査に加え、英国のオックスフォード大学の先駆的事例について調査を行った。オックスフォード大学では、ICTを用いたインフォームド・コンセント(動的同意、ダイナミック・コンセント)の実用化にむけ、骨や関節、血管等に関する希少疾患を対象に、RUDY(Rare UK Bone, Joint and Blood Vessel Disease Study)という研究プロジェクトを推進していた。RUDYの運用にあたっては、その立案当初から、患者やその家族の希望者によって構成されるPatient Forumが、研究の枠組みやインフォームド・コンセントの内容について積極的に関与できるように配慮していた。 またRUDYでは、患者が、ICTを用いて自身の情報にアクセスできるだけでなく、日々の体調を入力できる他、研究参加にあたっても継続的に意思決定を行うことが可能になっていた。特に重要な点として、患者のリクルートにあたっては、対面でのコミュニケーションや紙面での同意等を基本としており、ICTのみに依存しているわけではないことが明らかになった。 また平成27年度は、ゲノム研究やゲノム医療に関する政策展開が生じたことから、この経緯に関しても、本研究課題との関連で整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者の参加型手法について、基本的な文献調査及び英国の事例調査を行うことにより、予定通り研究対象を分析できているため、本研究は、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、患者やその家族の権利を含めた文献調査及び海外現地調査を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で効率的に研究費を執行したことにより、当初の見込額よりも執行額を少額に抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の国内外の出張旅費として主に使用し、現地調査を中心に研究の進捗を加速する予定である。
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