2017 Fiscal Year Annual Research Report
Novel drug delivery systems based on the regulation of alveolar functions for treatment of lung diseases
Project/Area Number |
15K19165
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Research Institution | Hokkaido Pharmaceutical University School of Pharmacy |
Principal Investigator |
戸上 紘平 北海道薬科大学, 薬学部, 講師 (20582357)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 肺線維症 / 肺がん / 肺投与型DDS / 微粒子製剤 / 組織透明化 / siRNA / アクティブターゲッティング |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である平成29年度は、肺がん及び肺線維症といった難治性呼吸器疾患の治療薬を封入した肺投与型ナノ粒子製剤を調製し、その肺内動態制御及び治療効果を評価した。過去の研究において、治療薬を直接肺投与することで、病巣への優れた送達と全身性副作用の回避が可能であることが示唆されていた。しかしながら、これらの疾患に対する治療薬の多くは、標的細胞のみならず他の多くの細胞に対して強い殺細胞作用を示すことから、肺投与すると肺の正常細胞に対する毒性発現の危険性が否定できない。そのため、より良い治療を行うためには、病巣細胞に対して選択的に作用する薬物を、病巣へ効率良く送達する必要があると考えられた。そこで、特定遺伝子の発現を抑制することから、従来の治療薬とは異なり、病巣細胞に対して選択的な作用を示すことが期待できるsiRNAの病巣細胞への標的指向能を付与した肺投与型DDSを構築すべく、siRNAを封入したナノ粒子製剤を設計・調製することとした。ナノ粒子製剤の設計・調製のコンセプトとしては、siRNAを製剤内にパッケージングするために「siRNAを製剤コア内へ充填する」、siRNAの生体内安定性を向上させるために「製剤コアを被覆保護する」、siRNAの細胞膜透過性を向上させるために「製剤表面に正電荷を付与するとともに、病巣細胞に対する特異的リガンドを修飾する」ことの3点を掲げ、静電的相互作用に基づく自己形成プロセスによりsiRNA封入ナノ粒子製剤を調製した。ナノ粒子製剤を肺投与した群では、コントロール群と比較して生存期間などの治療効果指標が有意に増大した。一方、ナノ粒子製剤を静脈内投与しても、有意な変化は認められなかった。これらの結果から、siRNA封入ナノ粒子製剤の肺投与は呼吸器疾患治療に有用な肺投与型DDSであることが示された。
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