2016 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of cancer chronotherapy by manipulation of biological clock via mTOR signal pathway.
Project/Area Number |
15K19167
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
岡崎 裕之 第一薬科大学, 薬学部, 助教 (50734125)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | mTOR / がん / 時計遺伝子 / 体内時計 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん薬物療法はしばしば症状の改善、あるいは副作用の発現の面から十全な治療効果を得られない場合が多く、有効な治療方法の開発が希求されている。近年医療の場において体内時計を考慮した時間治療の概念が徐々に取り入れられてきているが、その応用の実際には、疾患における体内時計の制御・変動や治療に用いる薬剤と体内時計機構の相関について一定のエビデンスが必要となる。mTORシグナルは生体の種々の機能に関与する生体機構である。がんにおいて細胞の異常増殖の一因とされており、エベロリムスやテムシロリムスといったmTOR阻害薬は抗がん剤として用いられている。本研究では、がん治療におけるmTORシグナルと体内時計機構との関与について解明するため、腫瘍移植マウスを用いたがん細胞、正常組織におけるmTORシグナルと時計関連遺伝子の測定などを行った。 in vitroにおいて、血清刺激により細胞の同調を行い、mTORシグナルの活性リズムについて検討した結果、約24時間周期の明瞭な変動が確認された。また、腫瘍モデルマウスにおいて、腫瘍組織、および正常組織中でmTORシグナル活性に日内変動が生じていることが確認された。また、この日内変動にはmTORの転写レベルでの制御とタンパクレベルでの制御の両方が関与していることが示唆された。これらの結果から、生体の時計遺伝子とmTORシグナル活性との関連性が示唆されている。さらに、mTORシグナル阻害剤による影響を検討した結果、mTORシグナルの活性が24時間(あるいは1日)の間抑制されていたのに対応し、時計遺伝子の発現リズムの変調が認められた。 本研究により、mTORと体内時計機構との相関の一部を解明し、mTOR阻害薬による体内時計への影響について示唆されたことで、今後mTORを標的とした疾患の治療において体内時計機構を考慮することの重要性が支持された。
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Research Products
(1 results)