2015 Fiscal Year Research-status Report
官能基非依存性固定化ビーズを用いた重症薬疹の初期発症メカニズムの解明
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15K19168
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
岡本 好海 (内田) 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 任期付研究員 (40716792)
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Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2017-03-31
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Keywords | 副作用 / ヒト白血球抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1) 重篤副作用との関連が認められたヒト白血球抗原と医薬品との分子的な相関を明らかにすること、また2) 新規解析系を用いて、発症数は近年多いものの、未だ関連分子が明らかとなっていない抗てんかん薬ラモトリギンの標的分子を探索し、そのSJS/TEN 発症の初期分子機構を明らかにすることを目的としている。27年度は、1)について検討を行った。これまでに重症眼障害を併発するアセトアミノフェン誘発性のスティーブンスジョンソン症候群・中毒性壊死症(SJS/TEN)の発症にHLA-A*02:06型のヒト白血球抗原が関連していることが明らかとなっている。そこでHLA-A*02:06とアセトアミノフェンが結合するのかを探索した。まずHLA-A*02:06とB型肝炎ウイルス抗原ペプチド及びβ2-microglobulinの複合体を精製し、放射線ラベルしたアセトアミノフェンに結合するかを検討した。その結果、アセトアミノフェンとすでにペプチドと結合した状態のHLA-A*02:06複合体との結合は検出できなかった。そこでアセトアミノフェンは、細胞の小胞内でペプチドと結合する前のHLA分子と結合するのではないかと考えた。 そこでHLAα鎖を発現しないヒトB細胞株CIRにHLA-A*02:06遺伝子を導入し、HLA-A*02:06安定発現株を樹立し、実験を行うこととした。現在この細胞のクローン化を試みている。この細胞をアセトアミノフェン添加培地で培養し、HLAが提示するペプチドの種類を質量分析にて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はHLA-A*02:06がアセトアミノフェンに直接結合するモデルを想定していたが、放射線ラベルしたアセトアミノフェンを用いた実験で、少なくとも一度ペプチドと複合体形成した後のHLA複合体には結合しないことが示唆された。そのため、実験計画を見直し、小胞内での結合を検討する系を立ち上げることとした。 また平成27年3月23日~平成27年9月30日の期間、産前産後の休暇及び育児休業を取得したため、実験を一時中断した。
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Strategy for Future Research Activity |
HLAと薬剤が小胞内での結合するか否かを解析することを試みる。具体的には、HLA-A*02:06の安定発現株を得て、アセトアミノフェン共存下で培養した際に、提示されるペプチドのレパートリーが変化するかを質量分析を用いて解析する。 また、HLA-A*02:06の他にもアセトアミノフェン誘発性SJS/TENの発症に関連するHLAアリルについても同様の解析を行う。 また、ラモトリギン誘発性SJS/TENの解析についてはHLA以外の分子との相互作用を薬剤結合ビーズを用いて探索する。
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Causes of Carryover |
当初想定していたように、すでにペプチドが結合したHLA-A*02:06にはアセトアミノフェンが結合しなかったため、薬剤結合ビーズの計画を変更することになった。そのため、薬剤結合ビーズの作製にかかる費用が予定よりも少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
HLA-A:02:06発現細胞がHLA上に提示するペプチドのレパートリー解析に使用する。具体的には、HPLCによるペプチド分離に必要なカラムや、質量分析に必要なチューブ等の消耗品を購入する。また、これまでにアバカビルがHLA-B*57:01に結合し、提示するペプチドの種類を変化させることが知られている。このことから、ポジティブコントロールとしてHLA-B*57:01発現細胞も作製するため、細胞培養に必要なディッシュやピペット等の消耗品を購入する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Drugs causing severe ocular surface involvements in Japanese patients with Stevens-Johnson syndrome/toxic epidermal necrolysis.2015
Author(s)
Kaniwa N, Ueta M, Nakamura R, Okamoto-Uchida Y, Sugiyama E, Maekawa K, Takahashi Y, Furuya H, Yagami A, Matsukura S, Ikezawa Z, Matsunaga K, Sotozono C, Aihara M, Kinoshita S, Saito Y.
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Journal Title
Allergology International
Volume: 64
Pages: 379-381
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Development of a simple genotyping method for the HLA-A*31:01-tagging SNP in Japanese.2015
Author(s)
Maekawa K, Nakamura R, Kaniwa N, Mizusawa S, Kitamoto A, Kitamoto T, Ukaji M, Matsuzawa Y, Sugiyama E, Uchida Y, Kurose K, Ueta M, Sotozono C, Ikeda H, Yagami A, Matsukura S, Kinoshita S, Muramatsu M, Ikezawa Z, Sekine A, Furuya H, Takahashi Y, Matsunaga K, Aihara M, Saito Y.
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Journal Title
Pharmacogenomics.
Volume: 16
Pages: 1689-1699
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] Drugs and HLA types associated with Stevens–Johnson syndrome/toxic epidermal necrolysis with severe ocular surface involvements in Japanese patients2016
Author(s)
Nakamura R, Kaniwa N, Ueta M, Okamoto-Uchida Y, Sugiyama E, Maekawa K, Takahashi Y, Furuya H, Yagami A, Matsukura S, Ikezawa Z, Matsunaga K, Tokunaga K, Sotozono C, Aihara M, Kinoshita S, Saito Y.
Organizer
1st Internati- onal Stevens- Johnson Syndrome Symposium
Place of Presentation
京都
Year and Date
2016-01-23 – 2016-01-24
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[Presentation] 重症眼粘膜障害を伴うSJS/TENの発症と関連する被疑薬およびHLA型について2015
Author(s)
中村亮介, 鹿庭なほ子,上田真由美, 岡本(内田)好海, 杉山永見子, 高橋幸利, 古谷博和, 矢上晶子, 松倉節子, 池澤善郎, 松永佳世子, 徳永勝士, 外園千恵, 相原道子, 木下茂, 斎藤嘉朗
Organizer
第64回日本アレルギー学会学術大会
Place of Presentation
東京
Year and Date
2015-05-26 – 2015-05-28